4 来訪 ページ4
いつも通りの朝だった。鳥の声で目覚めて、朝の光に照らされながら朝餉の支度をして。
美味しそうに食べてくれるおじ様を眺めながらお茶を啜って。食器を片付けたらお花に水をあげる。
その水やりの最中だった。
「あ……おじ様、お兄ちゃんの鴉の羽音が…」
微かに聞こえる、空を切る音。どんどん近付いてくる。この羽音は確かにお兄ちゃん…もとい冨岡義勇の鴉だ。
見上げれば、大きく旋回して降りてくる鴉。
そのまま家から出て来たおじ様の腕に留まった烏の足には文が括り付けられていて、文を開いたおじ様にくっ付いてそれを覗き込んだ。
その内容を見て、思わずため息を吐く。
「お兄ちゃん…直接会いに来て下さればいいのに」
「……A、儂はこの少年の所へ向かう。家を開ける事になるが…」
「大丈夫です!その子、剣士になるかもしれないんでしょう?しっかり見てあげて下さい、私は大丈夫ですから」
笑って頷いて見せるとようやく決心がついたらしい。小さく頷き、頭を撫でられた。
駆け出して行く背中を見送って、家に戻った。
ーーー
翌日。
なかなか帰って来ないおじ様を心配し始めた頃、ようやく聴き慣れた足音が耳に届いてホッとした。
それと同時に他の足音も聞こえてきて、反射で懐剣に手を忍ばせる。
しかし、歩いて来たのはおじ様と普通の…いや怪我だらけで息を切らした少年で、思わず駆け寄った。
「あ、あなた大丈夫!?おじ様お帰りなさい、この子っ」
「構うな」
ピシャリと言い放たれ、心配を拭えないままで彼から手を離す。その時、別の誰か…もう1人の呼吸音が聞こえて耳を澄ます。
それは彼の背負った籠から聞こえてくるもので、籠から出てきたのはなんと…
鬼、だった。
「お、鬼……おじ様、この子は」
「義勇からの文にあった少女だろう。A、これから山に登ってくる。見ていてやってくれるか」
「は、はい」
「よっ、宜しくお願いします」
「お任せ下さい。………頑張ってね」
彼の頬に付いた泥を拭ってそう声を掛けると、ぱあっと笑顔を咲かせて力強く頷き、おじ様と共に出て行った。
一息ついてから布団を広げ、私より少し年下だろうか…綺麗な顔をしたその子を寝かせて布団を掛けた。
この子は鬼だ。間違いなく、鬼だ。本当に人を喰わないのだろうか…
そんな心配を他所に、彼女は静かに寝息を立てるだけだった。
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瑠璃烏(プロフ) - 澄葉流さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月27日 11時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月26日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2020年2月26日 16時