28 蝶屋敷 ページ28
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ぼんやりとした意識のままで、ゆっくりと瞬きする。白い天井、柔らかい感触、そして暖かい手…右手を握られてる…?
深呼吸して、目を開けた。
「Aちゃん!たっ、炭治郎!Aちゃんが…」
「えっ!?A!大丈夫か!?」
「善逸…炭治郎……ふぁあ…」
大きく欠伸をして支えられながら体を起こし、辺りを見回して寝ぼけ眼で口を開く。
「此処は…?確か柱の前で…えっと…?どうなったの?善逸は平気?」
いくつもの質問を投げかけたせいで苦笑してしまった炭治郎は、まずそっと頭を撫でてくれた。
「那田蜘蛛山では助けてくれてありがとう。無事で良かった…」
優しい、暖かい手。笑顔。
それを目の前にすると、こちらまで笑顔になってしまう。お兄ちゃんパワー恐るべし。
満面の笑みを返すと炭治郎は安心したように微笑み頷いて、さっきの質問に答えてくれた。
「此処は蝶屋敷。Aは冨岡さんの手刀で眠らされて、今は療養中。鬼の毒の影響で手足が小さくなってるからって。善逸も見ての通り」
「はい?手足が……………………………うそ」
自分の手を見て唖然としていると、善逸が泣きそうな顔をする。
「薬めっちゃくちゃ苦いんだよ!」
「薬!?嫌だなぁ苦いの」
苦笑しながらキョロキョロと辺りを見回すと、あるのはベッドと棚と花瓶と…
探検でもしに行こうと掛け布団を退けた時、部屋の外から足音が聞こえてきた。じっと見つめていると、扉を開けたのは見知った顔。
笑顔になるのが自分で分かった。
「お兄ちゃ…ん"んっ、冨岡さま!」
「はぁ……だから、呼び名はそのままで良いと言ってるだろう」
「無理です」
呆れたようにため息を吐く冨岡さまを見て、炭治郎は困惑した様子で私と彼を交互に見る。
善逸もキョトンとした顔で私たちを見ている。
「『お兄ちゃん』…?って言いかけた?よね…?えっ!?兄弟ぃ!?」
「違う違う。小さな頃、おじ様に一緒に育てられたの。その時の癖でつい呼んじゃうだけ」
「あ、そっ、そうなんだ。あ〜吃驚した…でも確かに、兄弟の匂いはしないや」
兄弟の匂い…?
ツッコミは放棄して、冨岡さまへ顔を向ける。
「冨岡さまが嫌なら冨岡さんでどうですか?」
「まだマシだな」
「じゃあ冨岡さんで」
「……もう体は平気か」
相変わらずの脈絡の無い言葉に一瞬固まってしまったけれど、優しく頭を撫でられ、ゆっくりと口角を上げて微笑み頷いた。
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瑠璃烏(プロフ) - 澄葉流さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月27日 11時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月26日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2020年2月26日 16時