24 蜘蛛 ページ24
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「やだやだやだ蜘蛛の糸!蜘蛛いるでしょ!っいやあぁあああ!!!」
善逸みたいなことになっている自覚はある。
うん、ちゃんとあるよ。
でも本当に蜘蛛だけは無理!!!!
何で頭と腹なの?胸は?何で頭のとこから足が生えてるの?しかも8本!虫は全部嫌だけど蜘蛛は一端気持ち悪い!無理!!
ガタガタと震えながらも、山の奥へと歩いて行くしかない。だって人が居るかもしれないし。
そう思った時、聞き覚えのある声が耳に届いた。誰かの名前を呼んでいる…
「……善逸?」
善逸の声だ。
耳を澄ませ。良く聞いて。本当に善逸?誰の名前を呼んでいる?聞け、聞け…!
「禰豆子ちゃぁあん!炭治郎〜!伊之助〜!」
やっぱり善逸だ。
でも何で炭治郎と禰豆子ちゃんを…知り合ったんだろうか?
不思議に思いながらも大声で名前を呼んだ。
「善逸〜っ!!聞こえる!?私よ!A!どこにいるの!?」
「えっAちゃん!?こっちこっち!」
まだ目視できる距離じゃないけどこっちの方から声がする…
声がする方向へ走って行くと、こちらに手を振る善逸を見つけて思わず抱きついた。
「えぇえっ!!??Aちゃん!?」
「善逸〜…っ!もう無理やだやだ蜘蛛やだぁ…!」
「えっ…だ、大丈夫?蜘蛛が嫌なの?ぉお俺と一緒に行く?」
「グスッ……うん、行く…」
手を引かれて立ち上がり、涙でぐしゃぐしゃになった顔を乱暴に拭う。
すると善逸が思い出したように手を打って、真っ白な手拭を差し出してきた。ポカンとしてそれ見る私に、善逸は慌てた様に言う。
「えっ、忘れちゃった!?これ次に会った時に必ず返すからって…」
「ああ、そういえば。ありがとう…!」
「ううん。無事で良かった」
「善逸も」
笑い合って、それを受け取る。目元を拭った瞬間ふわりと香った匂いに、ハッとして手拭を見る。
「藤の香り…」
「ああ、そうなんだ。炭治郎と伊之助っていう奴らと会って、藤の花の家紋の家でお世話になったからその時洗って貰ったの」
「そっか……懐かしいなぁ」
その香りが愛おしくて、ぎゅっと手拭を握りしめる。
あの時外出なんかしなければ…もしかしたら善逸たちをもてなしていたのは私の母だったかもしれない…
そう思うと不思議だけれど、今はそんなこと考えている場合じゃない。
善逸に、スッと手を差し出した。
「行こう」
「う、うん」
躊躇いがちに取られた手を握って、歩き始めた。
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瑠璃烏(プロフ) - 澄葉流さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月27日 11時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月26日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2020年2月26日 16時