3 約束 ページ3
おじさま…もとい鱗滝左近次さまは、いつだって刀を持つことを許してくれない。
同じ女の子でも真菰は修行していたのに私は駄目だと言われた。
今日も駄目元で力一杯頼み込む。
「おじさま!私も刀を持ってみたい!なんでダメなのっ」
「危ないからだと言ってるだろう。……何故そんなに刀を持ちたがる?」
困った声音に少しだけ俯き、華やかに咲く花々の周りから雑草を抜き取りながら控えめに声を出した。
「……だって鬼殺隊に入ったら、炎柱様に会えるかもしれないもの」
それに返事を返そうとしたおじさまの言葉を遮ってすかさず付け加える。
「それに私は、鬼がこの世に存在する事を許せない。あれの存在価値は何?生ける災厄でしょうあんなもの。……錆兎も真菰も殺された…」
錆兎と真菰を思い出すと悲しくて悔しくて堪らず、思わず手元の雑草を握り潰した。
長い沈黙を経て、ようやくおじさまの口が開かれる。
「………駄目なものは駄目だ。もう少し大きくなったら考えよう」
「おじさまそれ去年も聞きました!……でも…やっぱりもう少しおじさまと居たいからいいや」
天狗の面に隠れて見えない顔が、笑顔になった気がした。
お母様がくれた藤の花の種を植えてから、そろそろ5年になる。段々と立派な木になって、今の時期は花を咲かせている。
他にもおじさまにせがんで手に入れた花の種を大事に育てているので、春になるとこの家の周りは甘やかな香りで満ちるのだ。
優しく頭を撫でる手からひょいっと抜け出して、藤棚を背景にバッと手を広げる。
「ねぇおじさま、おじさまは藤のお花好き?」
「ああ、とても」
「ふふっ、良かった!ほら見て、とっても綺麗に咲いたでしょう!」
いつも外さない面を少しだけ傾けて、右目元が露わにされる。そのまま歩いて来たかと思えば優しく抱き上げられた。
腕の中で首を傾げるとおじさまは再び藤を見つめる。
「ああ、とても」
「さっきとおんなじ返事ですね…?」
「A」
不意に真剣な声音で名前を呼ばれ、はい、と返事をした。
「Aは
「はい、おじさま」
「良い子だ……さあ、中へ入ろう。もう鬼が出る時間だ」
「はい」
首に回した腕にぎゅっと力を込めると、私を抱き上げる腕の力も強くなる。
私はおじさまの子。
絶対に死んだりなどするものか。
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瑠璃烏(プロフ) - 澄葉流さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月27日 11時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月26日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2020年2月26日 16時