戦え舞え舞え藤の花 (ページ16)

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16 日輪刀ページ16

最終選別から15日後。

いつものように花の水やりをしていると、チリンチリン…と風鈴のような音が遠くから聞こえて来た。

少し不安になって、さっさと家の中へ入る。

しかし炭治郎は勇敢にも戸を開けて外の様子を見に行き、少しして「あの人かな？」と声を掛けてきた。

そろりと外を覗くと、そこに居たのは案の定変な格好をした人が2人。

傘に風鈴…！？

驚いてビュンとおじ様の元へ戻った。

その2人組は兄弟だそうで、兄の方が炭治郎の、弟の方が私の刀を打ってくれたらしい。

ひょっとこの面が怖くておじ様の後ろに隠れるようにしていると、いきなりズイッと刀を差し出された。

「わっ…」

「抜いてみな。どんな色になるのかねぇ？」

「は、はいっ」

炭治郎とおじ様とハガネヅカさん(?)達が見守る中で、静かにスラリと刀を抜く。

その刀身は…

「藤色…？」

「藤色だな」

刀身は束の方から段々と、藤色の模様がついていく。色全体が変わるというより、私の物は模様がついた感じだ。

ひょっとこの面が頷く。

「予想通りってとこだなぁ。まあ、綺麗な色だろ」

「ええ、とても素敵…！」

「Aによく似合う。さあ、炭治郎も抜いてみろ」

「はい！」

さっきまで玄関でやりとりしていた2人もようやく家に上がってくれ、炭治郎はゆっくりと刀を引き抜く。

その刀身は、

「黒っ！！」

「黒いな……」

「格好いいじゃない」

ひょっとこさん(?)とおじ様の反応を見て、炭治郎は慌てたように問う。

「えっ、黒いとなんか良くないんですか！不吉ですか！？」

「いやそういうわけではないが…あまり見ないな漆黒は」

炭治郎がホッとした顔をしたのも束の間、ひょっとこさんが悔しがる子供のように叫び声を上げた。

「キーーーッ! !俺は鮮やかな赤い刀身が見れると思ったのに！クソーーッ！」

「いたたっ危ない！落ち着いてください何歳ですか！」

「三十七だ！」

「お、おじ様…」

「あまり見るな…」

取っ組み掛かられる炭治郎からそっと目をそらして禰豆子ちゃんの頭を撫でた時、鴉の羽音が聞こえてきた。

「あっ…私の鴉の羽音もする」

「羽音？」

炭治郎が首を傾げた時、鎹鴉が耳に痛い声で叫びながら家の中に入ってきたのだった。