その頃あの人は ページ30
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「えっ！安室さんインフルエンザにかかってしまったんですか？」
開店前の喫茶店に店員の声が良く響く。
「お見舞いは……そうですか、でもせめて……はい」
電話の相手の男は、「数日外に出られない」という。
店員は、これから数日独りで切り盛りしていかないといけない、という事実に、しょんぼりと肩を落とした。
ああ、こういう時に彼女がいれば「仕方ない」で済ませられるのに、と今はここで働いていない可愛らしい笑顔の少女を思い出す。
「治ったら、クレープ奢ってくださいね」
最近SNS映えだと人気のお店があるんです、と続けた。
「安室さん、何か食べたいものがあれば私をパシリに使ってください！」
すると相手は「はは」といつもより少しだけ元気のない笑い声を漏らす。
「しっかり休んでください。はい、お大事に」
店員は静かになったスマートフォンを耳から離し、心配そうに液晶画面を見つめた。
・・・
「哀くん、これも持っていったらどうじゃ？」
「それはもう持ったわ。それより、USBメモリーを探してくれないかしら」
小さいからよく失くしちゃうのよね、と哀が付け足すと、博士が、ほれ、とポケットから小さなUSBメモリーを取り出し、哀に手渡した。
「あら、ありがとう」
哀は、自身に名前をつけてくれて思いやってくれる博士が好きだった。
新一か博士のどちらかを選べと言われたら迷わず博士を選ぶほどに。
だから「哀くん」と博士が話し出そうとするのを遮った。
「ーー私がいなくてもヘルシーなものは食べてちょうだい」
決意を固め、せっせと準備を進めた。
哀は博士と静かに暮らすために必ず戻ってこなければならない、と。
そんな哀を見つめる博士の眼差しは暖かかった。
・・・
「もしもし。コナンくん、どうしたの？」
「ーーごめんね蘭姉ちゃん。ボク、ちょっと数日帰れそうにないや」
急な知らせに「え」と蘭が言葉に詰まる。
「帰ってきたとき、一番最初に蘭姉ちゃんのお味噌汁を飲みたいな」
コナンは穏やかな表情でそう話す。
「でもっ……」
「お願い。ちゃんと帰ってくるから。ね？」
「ーーっ」
少しの間、静かな時間が訪れる。
コナンは目を瞑り、蘭の返答を待つ。
「ーーーーお味噌汁作って待ってるから、だから、ちゃんと帰ってくるのよ？」
蘭は気遣いができる。そう、コナンは信じていた。
だから、こんな無理な願いも叶えてくれる。
「ありがとう！ 蘭姉ちゃん！」
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たんぽぽ珈琲(プロフ) - ちょっと内容を変更しました。97から100話、もう一度読んでいただけたら嬉しいです。それでは、今度こそ続編の準備をしてきます！ (2020年5月23日 18時) (
レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - お久しぶりです。100話が終わり、次章へと進みます。主人公の心の成長を伝えられたらと思って書いていますが、なかなか難しいですね。次章では、大きく分けて三つの問題について主人公が悩みます。それでは、ハッピーエンドへ進めるよう準備してまいります！ (2020年5月18日 14時) (レス) id: 768bd78820 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんばんは、たんぽぽ珈琲です。コロナウイルスで色々と状況が変化していますが、動かなくていいのだと思って、お菓子を作ったり編み物をしたりと、有意義な時間を過ごしていました。平和ボケしているかもしれませんが、みなさんもこの時間を楽しめていたらと思います。 (2020年4月8日 19時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明けましておめでとうございます！先ほどスケート滑って転んで手首腫れて痛くて包帯まいてもらった作者です。本日更新したおはなしは「言えずにいたこと」です。最後となりましたが、今年もよろしくお願いします！ (2020年1月5日 13時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんにちは、作者です。生活に慣れてきたので、そろそろ更新しようかなと思っています。お待ちくださっている読者さま、ありがとうございます！ 初めて投稿した作品なので辻褄の合っていない部分などありますが、完結させたいと思います。以上、告知でした！ (2019年9月18日 10時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぽぽ珈琲 | 作成日時：2018年10月28日 14時
