アイデンティティ ページ29
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「ふう」
息を吐き出すと白く曇る。
先ほどの電話でわたしが彼に対して放った言葉を反芻して苦笑し、うなだれる。
冬の空気はとっても澄んでいて、ぐちゃぐちゃな心を落ち着かせてくれた。
ああ、思えばわたしも悪かったかもしれない。
もしものことだけれど、彼が隠れていたり戦かっている途中だった場合、着信音のせいで何か嫌なことが起きていただろう。
後先も考えずに電話をかけた私も悪い、のかもしれない。
「やっぱりわたしは、ばかだ」
そう、渇いた笑いを漏らそうとした時、
ひとりぼっちだった米花公園に少年探偵団の3人が入ってくるのが俯いている視界に入ってきた。
3人はドローンのコントローラーらしきものを1人1つずつ手に持って、器用にドローンを離陸させた。
ドローン特有の風を切るような音が彼らを包み、周りの焦げ茶色の落ち葉が宙を舞う。
カラスのように真っ黒な羽を8つ持っているドローンがしばらくの間、ふわふわと
1メートル、2メートル、3メートル……と、上へ上へ小さくなっていった。
彼らはドローンを飛ばしたくてこの公園に来たようだ。
そんな彼らを遠目に見ながら、ふと疑問に思う。
「わたしは今、何をしたくてここに来たのだろう？」
ーーわたしは心を落ち着かせたかったから、この静かな公園のベンチに腰掛けて、考えを整理していたんだ。
心を落ち着かせたかったのは、どうしてか。快斗くんや透さんがコナンくんと一緒に事件を追っているのを知って、悲しくなったからだ。
悲しくなったのは、快斗くんや透さんたちが好きだからで、怪我を負ったりするのを考えたからだ。
少しずつ掘り下げて分かったことをまとめると、わたしは「このセカイが好き」だってことにたどり着く。
だから、わたしはここで会った人々を好きでいられる。
絶対的悪である黒の組織も、「このセカイが好き」だから恨むことができなかった。
たとえ、大切な家族を殺した犯人だとしても、わたしは憎悪の気持ちを抱けなかった。
……あれ？
何か、取り逃がしたことがあることに気づき冷や汗が吹き出る。
心臓の鼓動が大きく聞こえる。
家族を殺した犯人が生きているというのに、どうしてわたしは、そこまで「
「虚偽記憶」「世界五分前仮説」
どこかで見たような難しい言葉が頭の中でぐるぐる回る。
わたしは混乱を抑えるために、ぎゅ、と瞼を固く閉じた。
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たんぽぽ珈琲(プロフ) - ちょっと内容を変更しました。97から100話、もう一度読んでいただけたら嬉しいです。それでは、今度こそ続編の準備をしてきます！ (2020年5月23日 18時) (
レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - お久しぶりです。100話が終わり、次章へと進みます。主人公の心の成長を伝えられたらと思って書いていますが、なかなか難しいですね。次章では、大きく分けて三つの問題について主人公が悩みます。それでは、ハッピーエンドへ進めるよう準備してまいります！ (2020年5月18日 14時) (レス) id: 768bd78820 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんばんは、たんぽぽ珈琲です。コロナウイルスで色々と状況が変化していますが、動かなくていいのだと思って、お菓子を作ったり編み物をしたりと、有意義な時間を過ごしていました。平和ボケしているかもしれませんが、みなさんもこの時間を楽しめていたらと思います。 (2020年4月8日 19時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明けましておめでとうございます！先ほどスケート滑って転んで手首腫れて痛くて包帯まいてもらった作者です。本日更新したおはなしは「言えずにいたこと」です。最後となりましたが、今年もよろしくお願いします！ (2020年1月5日 13時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんにちは、作者です。生活に慣れてきたので、そろそろ更新しようかなと思っています。お待ちくださっている読者さま、ありがとうございます！ 初めて投稿した作品なので辻褄の合っていない部分などありますが、完結させたいと思います。以上、告知でした！ (2019年9月18日 10時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぽぽ珈琲 | 作成日時：2018年10月28日 14時
