検索窓
今日:67 hit、昨日:82 hit、合計:343,348 hit

混乱する白い鳩 ページ11

.




白いマントをなびかせ、月の明かりを頼りに屋上の柵に腰掛ける。風で飛んで行かぬようシルクハットのつばをキュッとつまみ、ハンカチで包んだものをポケットからそうっと取り出す。


「どれどれ」


ハンカチに包んでいたビッグジュエルを月の光にかざす。淡い光が漏れて綺麗だ。

いやーそれにしてもさっきの中森警部、面白かったなあ。


「くくっ」


うん。思わず笑っちゃう。だって、すっごく必死になって俺の身代わりの警官を逮捕するんだぜ?笑っちゃうだろ。

まあでも今回もはずれ。目当のものーーパンドラではないな。

誰に返そうか、と考えていた時。




た、た、た、たん


非常階段を駆けのぼる音がした。

焦ってビッグジュエルを落としそうになる。

だんっ、と乱暴にドアが開けられる。

黄色いワンピースを着た女が息を切らして走って来る。

何事かと思ったら女は俺の胸板を押し、正面から飛びつくようにして俺を空中へ押し落とした。


「え」


ぱしゅん、と大気を揺らす音がして、遠くがきらりと光る。

鮮血が飛び散り純白のマントに赤いしみを作る。

足場が無くなり頭を下にして落ちている俺は、女を急いで抱きかかえて、真っ白なハングライダーを広げた。

何がなんだか分からない。
でも一旦飛行に成功したので一息つく。

落とした犯人である彼女ーーポアロの店員の水鳥Aからは苦しそうな呼吸音しか聞こえない。

まっすぐ飛行出来る場所に入ったので、いったいどうしたものかと彼女の状態を確認すると、黄色のワンピースが一部分だけ鮮やかな赤に変わっている。


「くそっ!」


冷や汗が流れ、口の中が乾く。
ぱしゅんという妙な音、きらりと光ったビル。


ーー狙撃だ。

完全に俺の失態。
そいつらが俺を狙っているのに気づいて、Aは庇ってくれたのか?いや、まず先に応急処置を、だったら地上に降りないと。

赤いしみが出来ているのは、心臓のすぐそば。もしかしたら、内臓や肺がやられているかもしれない。


「きっど」


息絶え絶えで真っ青なAが無理して口を動かす。


「今から手当をします!無理はしないでください」


近くの屋上を見つけて着地する。

そしてAを床にそっと寝かせる。

白いスーツに赤いしみが移っているがこの緊急事態に気づく訳がない。


黄色いワンピースに手をかけた時。


「ごめ、ん」


青白くなったAは最後の力を振り絞って俺に謝った。

閃光弾のような光→←愛情たっぷり


ラッキーアイテム

革ベルト


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (122 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
360人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

たんぽぽ珈琲(プロフ) - わーんいつのまにか30万hit超えてたー。嬉しいです。ありがとうございます。これからも名探偵コナンの夢小説盛り上げていきましょー! (2020年12月14日 22時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明里香さん» 誤字の指摘、ありがとうございます。お恥ずかしい限りです……。明日までには直しますね。 (2018年11月18日 19時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - タイトルの掛け、「賭け」ではないですか? (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 特製ミルクティーの話、誤字がありました。「こんな事始めて」ではなく、「こんな事初めて」です。 (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 星を見守る砂岩さん» きゃー!そう言って頂けて嬉しいです!!更新頑張ります! (2018年10月13日 22時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たんぽぽ珈琲 | 作成日時:2018年8月23日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。