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38話 ページ38






「げ、んや!」



流石万年帰宅部。体力のないことないこと。
少し走ったただけで息が上がってしまう。

炭治郎から逃げる時だけその運動神経をフル活用させるAはへばりながらも何とか裏庭で玄弥を発見した。


今までに見たことないくらい疲れているAを見て玄弥は動揺を隠せずただただ混乱する。



「ど、どうしたんだよ?」



玄弥は未開封の水のペットボトルを差し出し飲めよ、と言った。

Aはお言葉に甘えて玄弥からペットボトルを受け取るとまだ冷たい水を一気に流し込む。



「ありがと…生き返った…」

「おう。で、どうしたんだ?」



そこでようやく当初の目的を思い出したAははっと顔を上げる。

ぎゅっと手に持っていたペットボトルを握り締める。



「えっと、あの…さっきの…」

「…さっき?」

「いや、ほら、うん。うん…」

「…ああ。」



勢い任せで玄弥の元まで走って来てしまったAは何を言おうかなんて全くと言って良いほど考えてなかった。

うん、流石炭治郎の片割れ。考えるより先に勢いで突っ込んでいくところがそっくり。



「梅ちゃんに教えて貰って、うん…うん?」

「なんでクエスチョンマークついてんだよ…」



玄弥はははっと笑うと眉を下げるAの顔を覗き込んだ。

凄く優しい笑顔だと、Aは思った。



「…過去形だったろ?」

「うん…」

「まあ、一途で健気な初恋だったとでも思っといてくれ。」



玄弥は首元を触りながら顔を赤らめて視線を逸らした。

Aは恥じらう玄弥を見て自分まで恥ずかしくなってしまい、ほんの少しだけ頬を色付けた。



「あ、あのね、ありがとう。えーと、嬉しかった。凄く。
玄弥とは違う好きだけど、私、玄弥のこと大好きだから。あのー、えっと、最高の友達だと思ってる。」



混乱する頭で何とか言葉を紡ぐA。

普段こんなに慌てふためく姿を見ることがないからか玄弥は少し驚いたような表情になったが、すぐに笑顔に戻りありがとう、と言った。



「授業始まるぞ。」

「あ、うん!」



Aは玄弥の隣を並んで、二人で一緒に教室に帰った。

先程までのことが嘘のように、いつものように馬鹿話をしながら。





































「(俺はこれからもきっと、こいつのことを好きでいるんだろうな。)」

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とく(プロフ) - すごくいいお話でした…。涙が出るほど(笑) (7月19日 12時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
えむえいか - 貴方様は、神ですか? (2022年5月20日 16時) (レス) @page5 id: 6c61bb4c69 (このIDを非表示/違反報告)
- 神作……… (2022年5月9日 15時) (レス) @page44 id: af8576bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - たまに………たまに原作を思い出すような描写があって……目から汗が……… (2021年12月5日 7時) (レス) @page50 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
夏鈴 - 炭治郎のシスコン具合がめっちゃ良かったです‼︎無一郎と有一郎がでて来るとか最高すぎます‼︎とっても良い作品ありがとうございますー! (2021年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 378955c846 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年6月13日 19時

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