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28話 ページ28

「ほらほら、早く寝るぞ。」

「なんでそんなにナチュラルに私のベッドに潜り込んでるわけ?」

「明日日直で朝早いだろ?早く寝るべきだ。」

「なんで私が日直って知ってるの?言った覚えないんだけど。」



「まあ気にするな!早く寝るぞ!俺も朝早いから!」

「…ああ、うん、うん…」



眠いのともう色々と疲れたので炭治郎を部屋から放り出すことを諦めたA。


仕方がないので自分がリビングのソファで寝ようと思い、押し入れの中から布団を取り出そうとした。

が、それは炭治郎にガバッと抱き着かれたことによって阻止されてしまった。



「…放して。」

「一緒に寝るんだ!」

「いや仮にも男女なんだけど。」

「それ以前にたった二人の双子じゃないか!」



いやまあそれはそうだけど、とAは溜め息をついた。



「私嫁入り前なんだけど。」

「よ、嫁には行かせない!」

「んーいつものことだけど話が噛み合わない。」



炭治郎は“嫁入り”という言葉に過剰反応し、Aを抱き締める力を思いっきり強めた。
骨がボキボキ折れそうだとAは本気で思った。

そしていい加減にして、と炭治郎を振り払おうとした突如、浮遊感に襲われる。



「ちょ、たんじ」

「さあ寝よう!」



炭治郎は軽々とAのことを抱き抱えるとさっさと明かりを消してAをベッドの上に優しく降ろす。

Aは目をぱちくりとさせて暗がりの中、炭治郎の顔を見上げる。

炭治郎はAの頭をぽん、とひと撫でして自分も隣に寝転ぶとAのことをぎゅーっと抱き締めた。


不覚にも、炭治郎に頭を撫でられたことが心地良いと感じてしまった。



「おやすみ!」

「え、ちょ、せめて私から手放してよ。」



しかし時すでに遅し。
炭治郎はAのことを抱き締めたまま規則正しい寝息を立て始めた。



「…はぁ……」



いつもうざいしうるさい弟。
でも、たった二人だけの双子。
唯一無二の片割れ。


Aは炭治郎の腕に顔を埋めると、静かに呟いた。



「…大好きだよ。おやすみ、炭治郎。」


























皆が皆、寝静まった丑三つ時。
少年は悲しい夢をみて、涙を一筋流しながら目を覚ました。

そして腕の中に眠る姉を抱き締め、心臓の鼓動を感じた。


ああ、なんとも悪い夢だった。背筋が凍り息の仕方がわからなくなって身体中が汗ばむ。

本当に本当に悪い夢だった。

















「…本当にごめん……ごめんなぁ、A…」

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とく(プロフ) - すごくいいお話でした…。涙が出るほど(笑) (7月19日 12時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
えむえいか - 貴方様は、神ですか? (2022年5月20日 16時) (レス) @page5 id: 6c61bb4c69 (このIDを非表示/違反報告)
- 神作……… (2022年5月9日 15時) (レス) @page44 id: af8576bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - たまに………たまに原作を思い出すような描写があって……目から汗が……… (2021年12月5日 7時) (レス) @page50 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
夏鈴 - 炭治郎のシスコン具合がめっちゃ良かったです‼︎無一郎と有一郎がでて来るとか最高すぎます‼︎とっても良い作品ありがとうございますー! (2021年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 378955c846 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年6月13日 19時

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