モノクロダイアリー【狗巻棘】

4. 禪院と色摩 ページ19

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目を一瞬小さく見開いた柚季に、悟がヘラヘラと補足してくれて、正直助かった。

でなきゃ、柚季にとって俺は一生、理由もないのにおにぎり具で返事をし続ける変人になるところだった。






「左隣のしゃけって言ったのが、狗巻棘。語彙はおにぎりの具だけなのは、呪言師だからなんだけど……その辺は本人から聞いて〜」


「すじこ」







ノリで答えてしまったけど、おにぎりの具だけでどうやって説明しろと！


とりあえず、ピースだけしておくけど……実際のところは恥ずかしさで体が熱い。







「それで右が禪院真希ね。呪具の扱いは学生一上手いから、いろいろ教えてもらいな」







フン、とまたしても鼻を鳴らした真希の顔もほんのりと赤くて、褒められ慣れてない感じが窺える。







「で、パンダ」


「パ、！？」






パンダ！？と言いたいところを抑えたのだろう。


口をポカンと開けながら、柚季はパンダのことを伺うように見ていた。







「なんだ？」







パンダはパンダで、気づいてるくせに気づいていないフリをしてすっとぼけている。




「いろいろ教えてください。えっと……マキ、トゲ、……パンダ？」


「いきなり呼び捨てかよ」


「名字で呼んだら呼んだで怒るくせに。よろしく、柚季」


「しゃけ」








見てわかる通り、最初は真希と柚季はギスギスしていた(というより真希が一方的に気にくわないオーラを醸し出していただけだが)。




ところが、わずか2日後。



事態は思わぬ好転を見せるなんて誰が思っただろうか。




少なくとも、俺はちっとも想像していなかった。

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