拾われた先はキンプリハウス

『泣き虫』 ページ37

S:海人



紫耀にぃに謝りに行かなきゃ…


紫耀にぃを探しに行ったけど、
なかなか見つからない。


いた…



「紫耀にぃ…」



紫耀「なに？」


「ごめんなさぃ…」



紫耀「言葉だけのごめんなさいはいらない。
また同じこと繰り返すから。」



「…………でも…ぼく…」



紫耀「……でもなに？」



紫耀にぃの低い声にびっくりして…


結局泣きそうになって、帰ってきた。




「うっ…ひっく…んっ、…うぅ…泣」



嫌われるのは嫌だ…




玄樹「海くん。どうしたの？」



「んっ、…げんにっ…んっく…」



玄樹「あらら。こんなに泣いて…」



「んっ、…しょ、にぃ…んっ…」



玄樹「紫耀に怒られちゃったの？苦笑」



「んっ…にぃっ…めん、って…っ、んっ、…」



玄樹「ごめんなさいってしたんだね？」



「んっ、…でも、…んっ、んっ、…ゔぅ…」



玄樹「そんなに泣かないの。
泣きすぎて頭痛くなっちゃうよ？」



「んっ、…も、やだ…んっ、…泣」



玄樹「抱っこしようか、おいで。
先にちょっと落ち着いてからお話ししよ？」



「んっ、…ん″ぅ〜ぅわぁ〜ん…大泣」



玄樹「よしよし…」



…
…
…



S:玄樹



30分くらい抱っこしながらあやしてたら、
腕痺れてきちゃったよ。笑




海人くんが落ち着いてきたから、
一旦ベッドに戻した。



「大丈夫？？」



海人「んっ…」


「お話しできそう？」



海人「ごめんなさいする…」



「んーん。ごめんなさいは今はいいよ。
紫耀が怒ってたのは、昨日と同じことして、
わかってくれてないって思って悔しかったんだよ」



海人「(こくん)」



「食べ物は捨てたり、わざと落としたりしてはだめ。」



海人「……(ふるふる)」



「ちがう…？」



海人「っ！！(ふるふる)」



「ん？いいよ？言ってごらん？
別に怒ったりしないから。」



海人「………ざと…がぅ…」



「わざとじゃないの？」



海人「……んっ…ひっく…泣」



あ、また泣き出しちゃった…



泣きながら頑張って話してくれたけど、
『テーブルに手をかけた時にお盆がひっくり返った』
みたい。



「わざとじゃなかったのか…そっか…」



海人「…にぃ…ぼくいらない？」


「え？いらなくないよ。
海人くんのこといらないなんて思わないよ」


そこまで不安になってるなんて
思わなかった…


そうだよね、普通の子育てとは違う。


僕たちとは今はまだ価値観も基準違う…

『安心と不安』→←『不信』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す