百九十四 遠征 ページ44
次の日から私はオロチさんと元祖軍とで外側へ出向くことになった。
期間は1週間程、目的としては領土を拡げることと周辺の偵察も兼ねてのことだった。
一軍では効率が悪いとエンマ大王さまは何軍かを出し、円を拡げるように攻めるといった戦法になった。
私が居ない軍はどう戦うのかを問うとエンマ大王さまは、私は知能のある黒魔をおびき寄せる囮でもあると言った。
知能のない黒魔は私が居なくとも十分に戦えるそうだ。
更に知能のある黒魔とない黒魔とでは闇に染まるスピードが違うとのこと。
1週間後、無事に戻ってきたところで治してあげれば間に合うそうだ。
朝早くからでかけたが特に大きな戦いもなく、小型の黒魔を相手に地道に戦っていった。
「先日の戦い以降、敵は身を潜めているようだ。だがこのまま順調に行けば予想以上の距離を進むことができる。その為にも休息は必要不可欠、少し早いがここで一夜を越そうと思う」
元祖軍大将、土蜘蛛さんの意見により私を含め元祖軍は近くの空き家に立ち入って休息をとることとなった。
女である私は元祖軍の中で浮き、1人で部屋の端っこで膝を抱えていた。
オロチさんはこの空き家の周りが安全かどうか見に行ってしまったので、余計に肩身の狭い思いをした。
向かいの空き家でもどこか別のところに行くべきなのではと不安に思っている私の前に、土蜘蛛さんが腰をおろした。
「今日の活躍、見事であった。ここは男しかおらぬ故、心落ち着かぬだろう。よかれば2階の部屋はオロチと使うがいい」
「……何故、ですか」
土蜘蛛さんは眉を寄せ、
「お主とオロチとはそういう関係ではないのか?吾輩はてっきり恋仲の関係にあると思っておったのだが……。まさかえんらえんらの奴また早とちりしているというのか」
といった。
「私とオロチさんはそんな関係ではありません」
実際のところある言葉で言えばなんと言い表せるのか考えたこともなかった。
今考えてもパッと思いつくものもない。
「恋仲の関係でないならあとで来るえんらえんらとともに寝るといい」
丁度その時、遠くからガラガラと荷車を引く音が聞こえた。
「む、この音はえんらえんらだな」
土蜘蛛さんは立ち上がると外に出ていってしまった。
少しして扉が開くとえんらえんらさんが
入ってきた。
「Aちゃんお久しぶり〜」
29人がお気に入り
「妖怪ウォッチ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:剣城京菜 | 作成日時:2018年12月10日 18時