さくらの営み 4【オロチ】 (ページ38)

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百八十八狸寝入りページ38

ドアノブを回し扉をそっと開けた。

中は小さなベッドがあるだけだった。

オロチさんはその上で猫のように丸くなって眠っていた。

熟睡しているようですやすやと寝息をたてている。

こっそり近づきベッドの横に腰をおろした。

無防備な寝顔をじっと見つめては目に焼き付ける。

ふと眠っているオロチさんが大事そうに握っている小さな箱が目に入った。

5cm程の正方形の箱。

ピンクのラッピングされているということはそれはプレゼント用だと推測できた。

大事そうに握るほどの物を誰にあげるのだろうと思いながら、汗ばんだ額にくっついた青色の髪をよけようと指先で触れると微かに肩が動いた。

私は口元を手でおさえ笑うのを堪えた。

「……ぐっすり眠ってますね。こんなに近くにいるのに起きないなんて。それにしてもオロチさん寝ている時はこんなにも可愛いんですねぇ……」

眠っているオロチさんの頬を執拗につついてみる。

わざとらしく耳元で息を吐くように呟く。

「……可愛い」

突然オロチさんが飛び起きるものだから頭が私の顎にクリーンヒット。

がちん、と歯が鳴った。

「いい加減にしろ……」

「狸寝入りしてたのでつい」

オロチさんは手の甲で顔を隠すが、その向こうがタコのように真っ赤になっていたのは言うまでもない。

「……たちが悪い。そういうからかい方は私だけにしておけ」

「からかうのはオロチさんだけしかできません。……でもそれってからかうこと自体はいいってことですか？」

そう言うとオロチさんは私のおでこを小突いた。