百八十一 戦う術 ページ31
皆戦っているのに、私だけ1人。
守ると決めたのに今私は守られている。
「く……っっ」
「我が貴様らのような下等に負けるはずがない‼」
血を流した体で何度だって立ちあがる。
必死な姿を私は目に焼き付けるばかりだった。
継子となった私は全てを恨んだ。
主犯格、離れていった友人。
そして憧れた。
もう一度欲しい。
私を求める誰かを。
私が求める誰かを。
私のせいで傷つけたくない。
だけど私は無力だった。
戦う術を持ち合わせて居なかった。
不器用で、結局誰かを傷つけてしまった。
「生きてる……生きてるんだよ……だから痛いの。だから私たちは生きてる」
間違わないように、大切な言葉を繰り返し呟く。
「生きてるだって？頭おかしいんじゃないの⁉妖怪は死に損ないの存在なんだよ‼」
「死に損ないなんかじゃない‼妖怪も人も同じです……‼大切な場所、もの、誰かを守りたいと思う気持ちに差なんてありません……‼私だって妖怪となった今、自分の運命を乗り越える為に皆をこの力で守りたい‼」
私は精一杯の気持ちをこの手に宿し、皆に振りかざした。
桜の花びらが甘い香りを乗せ、元祖軍の皆の体にまとわる。
「傷が治っていく……‼」
「寧ろ更に力が湧いていくような気がする……っっ」
「私が援護します‼どのくらい持つかは分かりませんが桜をまとっている間は怪我をしてもすぐに治ります……‼だからお願いします‼人間界を救って下さいっっ‼」
元祖軍の皆は私を見つめ、深く頷いた。
「無論、元からそのつもりだ‼我ら元祖軍、いざ参る‼」
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2018年12月10日 18時
