さくらの営み 4【オロチ】 (ページ13)

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百六十三手帳ページ13

片付けが終わったあとオロチさんに連れられ、以前入ったことのある本が沢山並んだ部屋に来た。

中は相変わらず散らかったままだった。

「妖力の制御についての本を見た記憶がある。だが随分と昔のことでどの本か忘れてしまった」

「この部屋限りならそう大変ではありませんが……」

落ちていた本を手に取りぱらぱらとページをめくってみる。

「よ、妖怪と……人の……れ、きし……。この文字は知りません。妖怪の文字は共通していないのですね。知らないはずなのになんとなく読めるのは……妖怪だから、でしょうか」

読めることのない文字が読めると言うのは不思議な感覚だった。

「こっちは医療系？何故お料理本と一緒になっているんですか……」

「整理はそのうちする。それより目的の本を探せ」

オロチさんに背中を軽く叩かれようやく目的の本を探し出す。

床に散らかった本、本棚も見てもめぼしいものはなかった。

ふと机の上にある小さな手帳が目に入った。

オロチさんがこちらを見ていないことを確認し、その手帳をめくってみた。

《○月○日見つけてしばらく様子を見ていたが、もしかするとあいつは……。

○月△日しばらく待っていたがどうもおかしい。記憶がないようだ。

○月□日断片的に記憶がないようだ。

○月☆日もしかすると何か影響をして一時的に記憶が無くなっているかもしれない。

○月◎日何故覚えていない

○月▽日約束は絶対……》

次のページをめくろうとすると背後から手が伸び、私の手の甲を強くつねった。

あまりの痛さに手帳を落としてしまった。

「勝手に読むな」

オロチさんは手帳を拾うと機嫌の悪い顔をしてそれを懐にしまった。

「すみません……」

オロチさんはまるでカツアゲする不良のような眼光を飛ばし、私を見上げた。

後ずさりしようにも既に背中には机がある。

机に少し乗り上げるような形になる。

「……読んでどう思った」

「ど、どうって……」

しどろもどろしているうちにオロチさんと私の距離はどんどん縮まっていく。

耐えきれなくなり横から逃げようとしたら、オロチさんに両肩を掴まれ逃げ場を完全に失ってしまった。