検索窓
今日:2 hit、昨日:14 hit、合計:68,320 hit

四十 毒舌姫 ページ40

屋敷を出てすぐに手を握る力は弱まり、私の手はだらんと落ち、足も止まった。


「……一人で帰れるか」


私は首を横に振った。

するとオロチさんは屋敷の方を見ると


「……待っていろ」


と言い、屋敷に戻ってしまった。

取り残された私は石段に腰をおろす。

時が止まるとは、一体どういうことか。

何故そうなってしまったのか。

知識がない私には仮設をたてることさえも到底出来ない。

膝を抱え、こっそりため息を吐く。


「おい、白髪女」


「し、白髪……⁉」


突然悪口を浴びせられ、顔をあげるとそこには可愛い女の子が居た。

濃い紫の長い髪に黒い着物と髪飾り。

人と似たような姿だが、彼女もまた妖怪なのだろう。

それは地に足がついていないことで判別した。

そもそもここは妖魔界なのだから普通の人間なんて居ないのだろうけど。


「何故人間如きがここにいる」


彼女はずいと顔を近づける。

威圧的で少し関わりづらいタイプだった。


「えっと……」


彼女に問われ思い出したことが一つ。

結局何故私がここにいるのか、はっきりした理由がない。


「早く答えるのじゃ、死んだ魚の目」


「死んだ魚の目……」


そんな顔をしていたのかと目を擦る。


「その、私……何故ここにいるのか分からなくて。成り行きで今……」


説明していると彼女は私の胸ポケットをじろりと見た。


「なにが入っているのじゃ?まさか銃弾でも入っているのではないだろうな」


「ち、違います……」


私はポケットを弄り、中に入っていたものを取り出した。

それはいちご味の飴だ。

スクールバッグに1個だけ入っていたのを入れていただけだ。


「それを寄越せ死人娘」


度々変わる酷いあだ名に私は正直ムカついていた。


「断ります。意地悪な方にはあげません」


私はそれを後ろに隠し、あげないと意思表示をした。

だけど彼女は素直に受けとるはずなく、凄く怪訝な表情をした。


「百鬼姫さま〜っっ」


上空から小さい、着物を着た妖怪が落ちてきた。


「探しましたぞ‼さぁ、早く地獄へ戻りましょう」


「こいつを連れて行け」

四十一 取り引き→←三十九 時



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (56 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
55人がお気に入り
設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

剣城京菜(プロフ) - あやべえさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2018年8月25日 20時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
あやべえ(プロフ) - オロチかっこいいですぅ……これからも頑張ってください!応援しています! (2018年8月25日 9時) (レス) id: af2133f4e4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - kkkkkkkkkさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2018年8月7日 20時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
kkkkkkkkk - 頑張ってください!!応援しています!! (2018年8月7日 6時) (レス) id: c230d910a2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 頑張ります!!アドバイスもありがとうございます!! (2018年7月25日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:剣城京菜 | 作成日時:2018年7月20日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。