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陵side
とりあえず、落ち着かなきゃ。
パニックになった頭の冷めた部分で、そう考える。
「っけほ、は、はぁっ...は、」
息を整えようと吸えば吸うほどに苦しくなって、立っていられなくなった俺は、その場に座り込んだ。
熱をもった頭が、酸欠のせいかガンガンと痛む。
自分の心臓の音が、ありえないほど鳴り響いていて、それが余計に恐怖を大きくした。
このまま、誰にも見つけてもらえなかったら？
この扉が、ずっと開かなかったら？
嫌な想像ばかりが頭に浮かんで、カタカタと体の震えが大きくなる。
「っはぁっは、けほ、っぐ、」
必死で息を吸おうとしていると、突然、喉元に嫌なものが込み上げてきた。
慌てて飲み込もうとするも、こんなに乱れた息の中じゃ抗えるわけもなく、気付いたときには目の前に拡がる吐瀉物。
気持ち悪さは治まらなくて、でもこれ以上汚すわけにはいかなくて、息は上手く吸えなくて。
汗で張り付いてくる髪が、気持ち悪い。
熱をもった重たい頭は、今すぐにでも意識を飛ばせそうだけど、今ここで意識を飛ばすのは何だか怖くて。
「っゲホ、」
熱い。寒い。怖い。苦しい。
いろんな感情がぐちゃぐちゃになって、だんだん体に力が入らなくなってくる。
──そのとき、ほとんど働かなくなった思考で、ふとポケットに入っているスマホの存在を思い出した。
でんわ。
もう授業が始まってしまう、とかそんなの、考えられるわけもなかった。
霞む視界の中、震える手でスマホを取り出す。
電話帳を開いて、誰か確認する余裕もないまま、適当にタップする。
「っは、はぁっ、」
吐き気はとりあえず落ち着いているけれど、息が整わない。これじゃあ話せない。
今さらそんなことに気付いて、焦って呼吸を落ち着かせようとするものの、逆に苦しくなっていくばかりで。
2コール目で、呼び出し音が止まった。
もしもし陵？と柔らかい声が聞こえてくる。
『どうしたの？もう授業始まっちゃうけど...』
その優しい声に、少しだけ恐怖が和らいだ。
「っけほ、そう、」
届いて欲しくて、必死に彼の名前を呼ぶ。
力の抜けた右手から、スマホが滑り落ちた。
それを拾う気力もなく、急速に意識が、遠のいていく。
『陵！？え、どこにいるの！？』
電話の向こうできっと慌てている湊にも何も答えられず、俺は意識を手放した。
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暁☆(プロフ) - ayahanaさん» こちらこそいつも優しいコメントありがとうございます！ おかげでまだまだ続けられそうです (*´ `*) ぜひ今後ともよろしくお願い致します〜！ (2021年2月13日 9時) (
レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます！まだ続けて下さるどころか頻度上がるかもということで凄く嬉しいです、次のお話も楽しみにしています！ (2021年2月13日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - ayahanaさん» お待たせして申し訳ありません！こちらこそ読んでくださりありがとうございます〜<(_ _)> (2020年8月20日 7時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！頑張りますね！ (2020年6月23日 20時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁☆ | 作成日時：2018年6月15日 20時
