男子高校生の体調不良集 part2

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湊side


「…う、湊」


誰かの、声がする。

優しい、落ち着く声ー…。


「…ん…？」


うっすらと目を開くと、海真がおれを覗き込んでいた。


「起こして悪いけど…湊汗ヤバいから着替えよ？」


言われてようやく、全身がじっとりと汗で湿っていることに気付く。

今なら眠る前よりずいぶん楽だし、着替えれそう。


「うん…」


乾いた喉から出した声は、情けなくかすれていた。

海真は心配そうに眉を下げたけど、何も言わずに着替えを渡してくる。

おれは重い腕でそれを受け取った。

それからノロノロと着替える。

着替え終わると、海真がおれの脱いだ服を洗濯に出しに行くため、立ち上がった。


「…………湊？」


反射的に、その海真の手を掴んでしまったおれ。

振り払えるほどの力だと思うけど、それをしない海真はやっぱり優しい。


「…ぁ…何でも、ない…」


おれは慌てて、彼の手を離す。

でも海真はベッドに腰掛け、じいっとおれの顔を覗き込んできた。


「ちゃんと言ってくれなきゃ、わかんないよ？」


俺鈍感だからさ、とほんの少しだけ微笑む海真。

その優しさに、どうしてか甘やかして欲しくなって。


「……ちょっとだけで、良いから…そばにいて…」


小さく呟くようにワガママを言うと、海真の大きな優しい手が、髪をふわりと撫でてきた。


「よく言えました」


その手が、驚くほどに気持ち良くて。

自然と、笑みがこぼれる。


「……うん」


たまにはこんな風に甘やかされるのも良いな、なんて。



…風邪を引くのも悪くないかもしれないね。




　

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