優しさ 1 ページ20
湊side
寝苦しさに、目が覚めた。
吐き出す息が、熱い気がする。
ごろ、と重たい体で寝返りを打ち、枕元のスマホに手を伸ばして時間を確認。
「……しちじ、はん…………っ!?」
7時38分、と表示された画面に、驚いて飛び起き……ようとしたんだけど、体が言うことを聞いてくれなくって、実際にはベッドの中のまま。
どうしよう、学校遅刻だ。
動かなきゃ、と思うのに、動きたくない、とも思ってしまう。
ふう、と荒い息を漏らしていると、突然ドアが開いた。
「湊ー寝坊?……って、は?大丈夫か?」
真っ直ぐな黒い髪。切れ長の目。
入って来た海真が、あわてて駆け寄って来る。
ぴた、と額に手を当てられた。
「うわ、すごい熱」
「…がっこ、」
「行けるわけないだろ。熱計るか」
体温計どこ?と聞いてくる海真に、ぼーっとした頭で場所を教える。
しんどくて目を瞑っていると、大丈夫か?と心配そうな声と一緒に、優しい手がおれの体を起こしてくれた。
体温計を渡され、緩慢な動きでそれを受け取り、脇に挟む。
ぐらぐらと体が揺れるのを見かねたのか、海真が、
「寄り掛かって良いよ」
と言ってくれた。
いつもなら断るけど、今は本当にきつい。
「…あり、がと」
素直にもたれかかると、海真が心配そうに眉を寄せたのが見えた。
しばらくして、電子音が鳴り響く。
「…はい」
数字を見るのも面倒で海真に渡すと、海真がえ、と驚いた声を上げた。
「嘘だろ…38.9…。湊って平熱低かったよな…」
「…ん、高いね…」
「他人事じゃないんだから。朝ごはん食べれるか?薬飲んだ方が良いだろ」
正直あんまりお腹は空いてなかったけれど、薬は飲むべきだと思い、頷く。
海真は「わかった」と返事し、立ち上がった。
去り際に、ふわりと髪を撫でられる。
え、と思って目を上げれば、海真はもう部屋を出て行っていた。
海真…学校遅刻だよね…。
悪いことしたなあ…。
海真が居なくなった自分の部屋は、しんと静まり返っている。
いつもはこの静けさが心地良いと感じるのに。
今は何だか、寂しくて。
早く戻って来てくれ、と願いながら、おれは目を閉じた。
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匿名リリス - 暁✩さんへしつもんとリクエストです!! お腹弱めの子はいますか?いたら,その子が胃腸炎にかかって胃腸炎で脱水になるまでこじらせてしまう系は出来るでしょうか?すいません,胃腸炎系大好物で… (8月24日 21時) (レス) id: e14be183ea (このIDを非表示/違反報告)
暁☆ - 晴さん» 作者も共倒れ系のお話大好物なんです!!なので二人が体調崩すのは書いていて楽しかったです! 今あるリクエストが消化出来たら、また書いてみたいですね! コメントありがとうございます!m(_ _)m (2019年8月9日 10時) (レス) id: b3d28df6ed (このIDを非表示/違反報告)
晴 - 海真くんが放置されちゃう感じ好きすぎます!その後、ちゃんと海真くんのそばにいてあげるのも最高です!2人体調崩してどっちかが、ちょっと我慢しなきゃいけない感じほんとに好きです。また、こんな感じのお話書いて欲しいな、、。海真くんが好きです。 (2019年7月16日 0時) (レス) id: 32acc50bba (このIDを非表示/違反報告)
暁☆ - マコトさん» 温かい応援ありがとうございます!更新遅くなっていてすみません…!時間が空いたときにちょっとずつ更新していけるようにしますので、これからもお願いします!(*- -)(*_ _)ペコリ (2018年6月16日 19時) (レス) id: 79c42c199e (このIDを非表示/違反報告)
マコト - この作品は個人的に好きだったのですが、最近更新停止気味になってしまい少し残念に思っていましたが、また再更新していただいてとても嬉しかったです。これからも応援しています。 (2018年6月16日 18時) (レス) id: fb4892608a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2018年1月12日 18時