新たな怪盗現る【怪盗レッド】

第八話 真実（上） ページ10

「ああ、確かにそうだったな…それについては嘘だ。今まで黙っていたが、俺はお前の父親だ。」


「嘘だ！お父さんは交通事故で亡くなったってお母さんが言ってました！」


すると、後ろの扉が古めかしい音を立てて開いた。


「ごめんなさい、輝夜。今まで嘘をついていて…」

「お母さん！？」


出てきたのは、私が唯一心を許せる、お母さんだった。

「貴方にはいずれ言わなければならないと思っていたんだけれど…。
　今この人が言った通り貴方の父親はタキオンのボスなの…。」


「え、それ、本当なの？」


お母さんまでそんなこと言うの？


じゃあこの人が私のお父さんだって言うのは本当の事？


後ろに立っている桜夜さんを見ると、彼女は無言で首を縦に振って私のことを見つめていた。


その表情はどこか悲しげに見えた。


「…嫌…嫌だ。
　嘘だ！お母さんが私に嘘をつくわけがない。
　お母さんはこの人に従わされてるんだ！
　お母さんっ！？
　そうでしょう？！」



でも…

もしこの人が本当のお父さんだったら…？

桜夜さんが本当のお姉さんだったら…？

お父さんに会いたい、お姉さんが欲しいと強く願っていた私には嬉しく感じた。

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