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三度目の当番の日。
私と櫻井くんは同時に図書室に着いて、扉の前で鉢合わせた。
「今日はホームルーム早かったんだね」
「長瀬も忙しいんじゃない？」
アハ、と笑った櫻井くんが先に図書室に入る。
あ...結構背が高かったんだ...。
目の前ある彼の後姿。
私の目線の高さにあるのは、櫻井くんのうなじ。
何となく同じ位の身長かなー？なんて思ってたのは、座ってる状態でしか話してなかったからだ。
いつものようにカウンターに荷物を置いた櫻井くんが、そのまま本棚の方へ歩いて行った。
私もカウンターに座って、読んでた本の続きを読み始める。
「こないだ、謎解きの寸前で時間になっちゃって読めなかったんすよねー」
戻って来た彼が持ってた本は前回読んでたミステリー小説。
「借りて帰れば良かったのに」
「家では絶対読まないし」
「そうなの？」
「学校の外には色んな誘惑があるから」
読んでた続きのページをパラパラと捲りながら探してる櫻井くんの口の端がキュっと上がった。
「誘惑...」
思わず零れた言葉を消すように「部活には入ってないの？」と質問してみる。
入ってないだろうとは思いつつ。
「入ってるよ」
だけど、彼の答えは意外なものだった。
「部活、やってるんだ」
「あー、入ってるだけ。幽霊部員」
「あ...そっか」
意外でも無かった。
「何部の幽霊部員？」
「演劇部」
「演劇...」
「友達が入ってるから文化祭とかにちょっと手伝ったりするってゆー、お助け要員」
私が首を傾げてると「大道具作ったりとか」って補足説明してくれる。
「舞台には出ないんだ」
「出ない出ない！練習ダルいし、早く帰りたいし」
「すごく帰りたがるね」
「まぁ、学校よりは帰った方が楽しいじゃん」
今日も香る香水。
透けるような茶色い髪は学校内では浮いてるかもしれないけど、外に出ると街に溶け込むのかもしれない。
その時、図書室に誰か入室して来た。
生徒では無い。でも先生でも無い。
「...誰だっけ」
櫻井くんが小さい声で耳打ちして来る。
微かだった香水の香りが突然強く香って、一瞬頭がクラリと揺れた。
「...用務員さんだったと思う」
「へぇ。意外と若い人が用務員してたんだなー」
「そうだね...」
ふらっと現れた用務員さんは「本読んでっても良い？」と私達に訊いて来て「どうぞ」と櫻井くんが返すと、柔らかい笑顔を見せて本棚を物色し始める。
耳打ちで近付いた体の距離は、結局図書室を閉める時間までそのままだった。
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みみ - reiさん、つむさんこんばんは。reiさんのお話が好きでこちらにもお邪魔させてもらいました 。どのお話もとても素敵で、繋がりも感じられて、読み終わった時どこか切なくても大切な何かが残っている気がしました。また次のお話を楽しみにしています。 (2019年4月5日 16時) (
レス) id: 4269c85d7b (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - reiさん、つむさんこんばんは。reiさんの大ファンでそちらよりお邪魔しました。つむさんは初めましてかな？とっても素敵なコラボ作品をありがとうございました。つむさんの作品も読みたいのですがどうやって探そう… さ、まずはダカーポしてきます。 (2018年7月19日 0時) (レス) id: 7382a51a30 (このIDを非表示/違反報告)
さら☆(プロフ) - reiさんとつむさんの大好きなお二人による作品！また大好きなお話が増えました。期待通りに戻って読み返すマニュアル通りの私！笑リンク部分は、嬉しく、そして最後に眼鏡をかけてる相葉先生！もしかして彼女に気を遣い？なんて☆また同企画がありましたら嬉しいです！ (2018年7月12日 3時) (レス) id: 1078765f1f (このIDを非表示/違反報告)
2038(プロフ) - とっても面白かったです(^^)全てのお話が繋がってて最後まで読んで、ぁあこういうことか！驚きました。二宮くんにも是非幸せになって欲しいですね! !続きがいつか読めたらいいなと密かに楽しみにしてます。 (2018年7月9日 21時) (レス) id: c512e9cb5a (このIDを非表示/違反報告)
めいぷる(プロフ) - とても良かったです！！！！！最後に繋がって無限ループ！！二宮担的には二宮さん幸せになって欲しいけど、ニノちゃんの恋が切なくて似合ってる！とも思ってます。黄田ちゃん諦めないで！！ (2018年7月7日 17時) (レス) id: ae3f3fc11e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年5月14日 16時
