20話 ページ20
「Aちゃんは義勇ちゃんのどこを好きになったのかしら?」
「え''」
どこを好きになったも何も好きじゃないし。何なら冨岡君のこと良く知らないし。
でもここでお婆さんの夢を壊すのも気が引ける。
ええい、こうなったらヤケクソだ。
「え、えっと…口下手だけど優しいところとかちょっと天然なところとか…。あと好きな物(鮭大根)に夢中になれるところとか…。
…取り敢えず全部です。(嘘)」
「あらあら、素敵ねぇ。」
あれ、なんでこんなにスラスラ冨岡君の褒め言葉が出てくるんだ?
てか鮭大根好きって…言ってたようなそうじゃないような…。記憶があやふやだぁ。
「ふふっ、ありがとうねぇ。Aちゃんに想って貰える義勇ちゃんは幸せ者ねぇ。」
解きたい。今すぐにでも誤解を解きたい。
全っ然そういう関係ではないということを。
でもさ、お婆さんのこんなに安心した顔見たら言うに言えないじゃん!どうしよう!
「あ、ありがとうございます…。」
だから結局お礼の言葉を言うしか私には残されていなかった。
冨岡君、後で覚えてろよ。
.
.
私とお婆さんは冨岡君のいる居間までお茶とお菓子を持って行った。そして私は冨岡君の隣に座らせられた。
「義勇ちゃんは幸せ者ねぇ。」
お婆さんのその言葉に飲んでいた緑茶を吹き出してしまいそうになった。
待ってお婆さん。さっきの話ここでしないよね?ね?
「こんなに想ってくれる子に出会えてほんとうに良かったわねぇ。」
お婆さんはお茶を一口啜ると柔らかく微笑んで冨岡君を見た。
冨岡君は目をぱちくりさせて、はて何のことやら、と言いたげに私のことを見た。
「ふふっ、さっきちょっと聞いちゃったのよ。Aちゃんは義勇ちゃんのどんなところを好きになったのかって。」
ああああああ待ってお婆さん待って待って待って。
あらぬ誤解を生みまくってますから、お願いですから…(震え声)
冨岡君は目を大きく見開いて私のことをガン見する。
違うから、誤解だから。
私取り敢えず話合わせただけだから。てか元はと言えば何の説明もなしに貴方が私をここに連れて来たんでしょうが。
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aya(プロフ) - ラストに向けた展開に心揺さぶられました! (2021年6月8日 2時) (レス) id: 72cb3c8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
かすたーど - ヤバっ!トリハダたちました…! (2021年5月16日 13時) (レス) id: 328ef4fff0 (このIDを非表示/違反報告)
巴 - 学園祭のお話がすごーく良かったです!高校時代に戻りたくなっちゃった。茶道部だったから不死川さんにお茶点てて差し 上げたいわ〜。 (2021年3月14日 0時) (レス) id: 7c1fbdaf37 (このIDを非表示/違反報告)
くれ - めっちゃ面白いです (2021年1月2日 17時) (レス) id: f26c98ad88 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の水道水(プロフ) - いやなんかw主人公の実況が好きすぎてw (2020年11月18日 7時) (レス) id: 44bf365a1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月11日 23時