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お寺の近くに植わっている、赤い彼岸花を一輪摘んでゆっくりと駅まで歩く。
ラフではあるが、墓参りらしい黒い服に身を包む私が片手に彼岸花を持っているのが異様なのか、決まりの悪そうな顔をして大人たちが私を避ける。
ガラガラになった車内のシートに座り、私は海を目指した。
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“――もしもしA”
「……福尾？」
“そうだけど、どうしたん？”
未練がましいかな、と思うけど最期に声が聴きたくて。…なんて言えるはずもなく。
「……大したこと無いんだけど、言いたいことがあってね」
“うん？なに 勿体ぶらんでよ”
私の闇に気付かない亮くんはクスクスと笑っている。あのいつものイケメンスマイルで笑ってるのかな。
顔だけでも見てくれば良かった、なんて、また未練がましいことを思って頭を振った。
「あのね――すき、」
“え？…なんかノイズ酷いんだけど、Aどこおるん？”
「…内緒だげ。それじゃあね」
“ちょ、”
スライドして通話を切る。一世一代の告白も終わった。
伝わってないみたいだけど、それでいい。
そのまま、私が生きてきた二十数年の思い出を海に投げた。
ガラスの保護シートが赤い夕日にきらりと光って、ぽちゃんと小さな音を立てて沈んでいった。
「っはぁ、つかれたなぁ」
投げた反動で私の体も前に倒れる。
黒いシャツに砂がついて、残念な気持ちに。…いや、もういいか。
止まったはずの涙がまた溢れ出してきて、袖で拭う。付いた砂が目に入って更に泣けた。
最後の力を振り絞って置いていた彼岸花を引っ手繰り、海まで駆け出した。
「さよなら、ありがとう、
見付からない、かなあ。……見付かってもどうせ、友人として悲しんでくれるだけだろうけど…亮くんは、思い出してくれないだろうけど、っ」
夕日は沈みかけている。
このつらい世界にさよならを、
りょうくん、また会えるかな
(――幸せな来世で)
＿＿＿ / end
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Twitterにて『衰弱(死ネタ？)』『闇』というお題を頂きました〜！有難う！
彼岸花(別名:毒花)の花言葉 = あきらめ/悲しい思い出/想うはあなた一人/また会う日を楽しみに
いじわるしないで [msmgn] #req.→←毒花 [ry] #req.
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遊馬(プロフ) - ゆさん» 長い間ご愛読頂き有難うございました！ひとつひとつ時間をかけて生み出したお話を気に入って頂けてとても嬉しいです。またお時間ある時に読み返して頂けたら嬉しく思います…！どうぞこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月2日 2時) (
レス) id: fccb4604d0 (このIDを非表示/違反報告)
遊馬(プロフ) - 怜さん» 長い間ご愛読頂き有難うございました！初期の方は見返すと小っ恥ずかしい気持ちになりますが、どのお話も気に入って頂けて作者冥利に尽きます…。これからもどうぞ作品共々よろしくお願いします！ (2020年2月2日 2時) (レス) id: fccb4604d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 完結お疲れ様でした！どの話もとても楽しく読ませて頂きました、、！終わってしまうのはとても悲しいですが、さらにまた読み返そうと思います！新作がもし出来たらすぐに読みに行きます！！ (2020年1月31日 21時) (レス) id: 2e60baebd0 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 完結おめでとうございます！どのお話もとっても好きで、3作ともたまに読み返しています…他の作品の更新も頑張ってください〜！ (2020年1月31日 21時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Flower 328(プロフ) - リクエストありがとうございました♪甘々で溶けました…… (2019年12月6日 9時) (レス) id: 34909526e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊馬
| 作成日時：2019年7月5日 23時
