雪と墨 [ry] ページ27
Setting = 年上 彼女 男前
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Ryo side
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「りょう お待たせ」
ぱっと顔を上げた瞬間、時が止まった感じがした。
久々にまとまった連休が取れたから2泊3日で旅行に行こう、と計画したのはつい最近。そして今日はその旅行当日だ。
Aさんの出張の最終日と俺の連休の初日が被るから、出張先である京都を旅行先に選んで楽をする作戦。仕事終わりのAさんをお疲れ様〜と出迎える予定だった、はずなのに…油断してた。
いつもは出来る女感満載のスーツにパンプスに低い位置でのポニーテール。しかし今日はどうだ?
「なんでそんなに可愛い格好しとるん?」
「…せっかくだから?」
ふわふわとピンクと赤の花が舞ってる浴衣。キラキラと光るガラス玉がついてる簪。巻かれた髪は緩くまとめられていて、後れ毛が項に流れてる。
見慣れない可愛い系の彼女に、心臓の音が早くなる。
「久々にりょうと旅行だから浮かれちゃった。仕事も早く終わったしレンタルしてみたんよ。
――似合わない?」
首を傾げるAさんはこの世のものとは思えないくらい美しい。
「…いや、見慣れないだけ。Aさん似合うよ」
そう?と嬉しそうに笑って、行こうかと俺の手を引くAさん。
浴衣が派手な色味だからかいつもより白く見えるし血色が良いようにも見える。つーか、髪から覗く耳が紅い。
「Aさん、もしかして照れた?」
「…照れてないよ」
「耳紅いのに?」
「うるさいよ りょう。」
「かーわい」
怒ったような口調と照れた顔。
可愛い服装と男前な仕草。
Aさんが持ってるギャップは、Aさんの白い肌と俺の日に焼けた肌くらい正反対で。
俺はその魅力に易々と落とされたみたい。
今日の可愛いAさんも、いつもの綺麗なAさんも俺のもので。これからも色んな面を一番近くで見れると思うと嬉しくて頬が緩みっぱなしだった。
___ / end
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「ねえ、りょうにやけすぎ」
「だって可愛いから」
「…いいから行くよ」
「あ、ちょ!とったホテルこっちじゃないよ」
「勝手にキャンセルして温泉付きの旅館に変えたからあっとる。タクシー乗るよ」
「は?」
「最近疲れてそうだったからね」
「〜〜そんなんありかよ…」
(俺より男前やん)
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雪と墨 = 二つの物が正反対であることの喩え。また、二つの物事の相違が甚だしいことの喩え。
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遊馬(プロフ) - ゆさん» 長い間ご愛読頂き有難うございました!ひとつひとつ時間をかけて生み出したお話を気に入って頂けてとても嬉しいです。またお時間ある時に読み返して頂けたら嬉しく思います…!どうぞこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月2日 2時) (レス) id: fccb4604d0 (このIDを非表示/違反報告)
遊馬(プロフ) - 怜さん» 長い間ご愛読頂き有難うございました!初期の方は見返すと小っ恥ずかしい気持ちになりますが、どのお話も気に入って頂けて作者冥利に尽きます…。これからもどうぞ作品共々よろしくお願いします! (2020年2月2日 2時) (レス) id: fccb4604d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 完結お疲れ様でした!どの話もとても楽しく読ませて頂きました、、!終わってしまうのはとても悲しいですが、さらにまた読み返そうと思います!新作がもし出来たらすぐに読みに行きます!! (2020年1月31日 21時) (レス) id: 2e60baebd0 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 完結おめでとうございます!どのお話もとっても好きで、3作ともたまに読み返しています…他の作品の更新も頑張ってください〜! (2020年1月31日 21時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Flower 328(プロフ) - リクエストありがとうございました♪甘々で溶けました…… (2019年12月6日 9時) (レス) id: 34909526e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊馬 | 作成日時:2019年7月5日 23時