ミルキーウェイをこえて [sby] ページ3
Setting = 遠距離 彼女
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「あーいーたーいー……」
ぐすん、と態とらしく鼻をすするフリをしてみても寂しさは埋まらない。
仕事の理由で海外支店の立上げに携わって約3年の月日が過ぎた。不自由ない暮らしと引き換えに恋人としての時間は全部日本に置いて来てしまった。
気付いたら今年も上半期は終わってしまっていて。
いつになったら戻れるのかなぁとため息をついた。
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今日は七夕だ。
織姫と彦星が一年に一度会える日。
七夕なんて日本に居る時は笹の葉に飾られた短冊を見て、ああそんな季節か。なんて思うだけだったのに。
離れてみると一変して、なぜか毎年7月7日にゆうくんが会いに来てくれる――なんて妄想をしてしまう。
毎年数回は会ってるから織姫と彦星よりかは恵まれているんだろうけど…
そこまで考えて、ふと窓の外を見ると優しく雨が降っている。
「催涙雨…なんてね。」
“年に一度の機会に会うことが出来なかった織姫と彦星が流す涙”……なんてロマンチックな言い伝えを思い出しながら雨を眺めていると、ピンポンとチャイムが鳴る。
滲んでいた涙を拭ってドアを開けた。
「――Who is it?……ってあれ?」
「やっほう。会いに来たよ」
俺の織姫ちゃん、なんておどけた表情で下手くそなウインクをキメる。
奇抜な色と形のトップスと、柄で埋め尽くされてるハーフパンツ。左右の靴下は色も柄も違うし サンダルを履いてるから丸見えだ。
数ヶ月前に会った時と違う色のメッシュが入ってて、ああ最近動画を見るのも寂しくなってしまうから蔑ろにしてたなと気付かされる。
ぼーっと考えてると、ぐんと手を引かれて抱き締められる。
じわりとあの奇抜な服が水分を吸収してくれて、自分が泣いていたことに気付かされた。
「ゆ、ゆうくん…っ」
「泣かないのー。よしよし。」
いつもより数倍優しい声が聞こえて、電話越しに聞こえる低い声もいいけどやっぱ実際に会うのが一番だななんて思う。
「どうして、ここに?」
「何となく。Aちゃんに会いたくて。
チケット押さえてひとっ飛びしてきちゃった」
夢で泣いてたから心配でさぁーなんて。
夢と現実の区別も出来ないの?っていつもなら言えるのに会えたのが嬉しくて私の口からは嗚咽が漏れるばかり。
「やっぱり来て正解だったね。俺の織姫ちゃんが一人で泣いてるなんて考えたくないし。
…会いたかった。好きだよ A」
___ / end
(〜〜私も好きだよばか!)
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七夕ネタ
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遊馬(プロフ) - ゆさん» 長い間ご愛読頂き有難うございました!ひとつひとつ時間をかけて生み出したお話を気に入って頂けてとても嬉しいです。またお時間ある時に読み返して頂けたら嬉しく思います…!どうぞこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月2日 2時) (レス) id: fccb4604d0 (このIDを非表示/違反報告)
遊馬(プロフ) - 怜さん» 長い間ご愛読頂き有難うございました!初期の方は見返すと小っ恥ずかしい気持ちになりますが、どのお話も気に入って頂けて作者冥利に尽きます…。これからもどうぞ作品共々よろしくお願いします! (2020年2月2日 2時) (レス) id: fccb4604d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 完結お疲れ様でした!どの話もとても楽しく読ませて頂きました、、!終わってしまうのはとても悲しいですが、さらにまた読み返そうと思います!新作がもし出来たらすぐに読みに行きます!! (2020年1月31日 21時) (レス) id: 2e60baebd0 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 完結おめでとうございます!どのお話もとっても好きで、3作ともたまに読み返しています…他の作品の更新も頑張ってください〜! (2020年1月31日 21時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Flower 328(プロフ) - リクエストありがとうございました♪甘々で溶けました…… (2019年12月6日 9時) (レス) id: 34909526e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊馬 | 作成日時:2019年7月5日 23時