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sacrifice〜16 ページ20

【残り】1d 16/24 : 一日と十六時間。




午前八時の空には、青空が広がった。
日が高くなるにつれて、じわじわと暑さが出てくる。

今二人は同じ長椅子の上に座り、ベッドでぐっすり眠る娘を見ていた。
私達がまだ中学生だった頃の思い出話に花を咲かせながら、彼女の未来に想いを寄せていた。



__神様は凄いものだね。僕達を巡り逢わせて、引き裂いて、それからまた引き合わせた。
僕らは物凄い強運の持ち主だ、ということかな。

__ならこの子も、私達に似て、素敵な運に恵まれるはずよ。きっと。

__君に似て、美しい子になるだろうね。

__冗談はよしてよ。

__本当のことさ。この僕が一目惚れしたんだからね。

__何それ、初めて聞くわ。

__なかなか恥ずかしいものでね。言えなかった。

__私は…一目惚れというよりかは父さんの面影があったからかな。

__一度聞いたことがあるよ。君の父さんと僕、雰囲気が似てるって。

__ええ。最初は怖いくらいだったわ。

__今は?

__全く。見てるだけで愛おしいもの。キィがあなたに似てて、嬉しいわ。


ふふふ、と笑いがこみ上げる。

キィを起こさない程度に笑ったつもりが、彼女の耳に笑い声が微かに届いていたようで、小さく唸ってその美しい目を開いた。

「…ママ。パパ」
「起きたの?キィ。よく眠れた?」
「うん。」
「ママもパパもなんでいるの?」

私達二人は苦笑いした。

「パパがママに君の眠り顔を見たいって言ったんだよ。さすが僕の娘だ。寝顔も可愛かったよ。」

カヲルくんはキィの頬をつついた。
キィは擽ったそうに目を瞑って笑う。

「パパ、キィが起きたら肩車して」
「はいはい」

キィはカヲルくんにその小さな手を伸ばす。
カヲルくんは手を引っ張り身体を起こした。
キィの頭は寝癖だらけだった。

「待ってキィ。髪の毛綺麗にしないと」

そう言って、私はキィを目の前に座らせて細い髪に櫛を通し始めた。

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茉莉 - めっちゃ最高です!更新楽しみです!頑張ってください((๑•̀ㅂ•́)وガンハバレ~!!! (7月30日 19時) (レス) id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
kaori - 続きがテニスの王子様めっちゃ気になります! (6月22日 19時) (レス) id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
kaori - 読みました! (6月22日 19時) (レス) @page36 id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
かずほ(プロフ) - 初めまして!昨日、シンエヴァ見に行って再び エヴァ 火付いてしまいましたw カヲルくんのとこ泣きました! こちらの夢小説シリーズ読ませて頂きました!更新楽しみにしてます! (2021年3月19日 19時) (レス) id: 4ea2670edc (このIDを非表示/違反報告)
RUKA(プロフ) - 長々とコメントを書いてしまい、ごめんなさい。続きがとても気になります。更新頑張ってください。 (2021年1月30日 9時) (レス) id: 4977de0b73 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅坂紅子 | 作成日時:2016年2月14日 1時

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