春の結び目《桃》

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大人みたいやった。


小さな子供を慰めるみたいに断っとった。



ほんまはやりたいねんけど、ごめんね？

それはちょっとできひんから、ごめんね？

わたしはいいからみんなでいっしょにやってきて？



悲しそうに笑う姿も、そう。

大人みたいやった。


それが嫌やってん。




「なぁ。なんでやらんの？」


『…ごめんね？』


「ごめんねちゃうよ、あやまるんやったらいっしょにやろうやぁ！」


『できひんの…』


「なんでやねん！やりかたおしえるし、そうやってひとりでおるとさみしいで！！みんな、なかようしようってさそっとんのに、」


『のぞむくん、あのね？』


「みんなのこときらいなん？！ひとりのほうがすきなん？！」


『………』





俺が大きな声を出した事で、周りの先生達が駆けつけてその場はそれで終わった。


俺は先生に、大きな声で怒ったらあかんって怒られて。



なんで俺が怒られなあかんねんってめっちゃ悔しかった。


でも、ちらっと見えた君は、

その小さな手では掬いきれない程の大粒の涙を流して、他の先生に背中をさすられとった。



真っ白な頬を赤く染めて

そんなに目擦ったら目も赤なってまうやんってぐらい、ゴシゴシ目を擦って。

いつもニコニコしとる顔なんて、どこにもなくて。



あぁ、俺が泣かしたんや、

あぁ、俺が笑顔を消したんやって、自分のせいなのにすごく悲しくなってん。



でも、謝りたかったけど、謝れんかった。




…あの日のこと、俺謝ったっけ？


君との事なら些細な事も覚えとるのに、その記憶は無いねん。


もしかして、謝ってないのかな？

そしたら、あの時の事ちゃんと謝らせて欲しい。



君にはまだまだ他にも、謝りたいこと沢山あんねん。

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