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すぐに上がってしまった息を整えながら
ゆっくり桜の木に近付く。
建物の影に隠れたその淡いピンク色。
そっと幹に手を当てた。
そんな事しとる時間なんかないって分かっとるけど
どうしようもなく、胸がいっぱいになる。
ここから離れてしまう事がどれだけ重大な事か。
今更ながら、
恐怖に支配された。
僕はホンマにいけない子や。
このゴツゴツした焦げ茶色の木から手を離してしまったら
もう後戻りは出来ひん。
最後の最後に、問いただされている気持ちになった。
ホンマにええんか…？
これで。
これで僕は幸せになれるんか…？
でも、今の僕にその答えを見つけ出せるほど
時間はなかった。
そっと木から手を離す。
高く見下ろす桜を、めいっぱい見上げた。
僕は、やらなあかん。
そして、登ってきた丘を反対方向に降り
暗くなってきた視界の中、僕よりも何倍も背の高い木々を前に見渡した。
すると、少し先に
小道のような場所を見つけた。
走り近寄ると
そこは整備された道ではなく
人が歩いてできたような道やった。
木々の間で、腰ほどまで伸びる草が
そこだけ長く続くように生えていない。
残念やけど、その道の先はよく見えへんかった。
その暗い森の中へ
震え竦む足を
一歩、また一歩と、進める。
カサ、カサ、と草を踏む足音が響く。
だいぶ暗くなってもうたし
高い木に遮られ光が入ってこうへん。
その、何となく道になっている草の間を
迷わないよう慎重に歩く。
お願い。
当たってくれや。
祈ってばかりやけど
もう僕には祈り続けるしかない。
自分の直感や知識など
正直全然役に立たない。
あんなに毎日勉強しとったのに…
それがどうしても悔しくて。
りんごやAと一緒に勉強した日々の、
流星と一緒に過ごした日々の記憶が
頭の中を流れ始め
無意識に涙が頬を伝った時。
草木の間から、
高く聳え立つ鉄格子が
僕の目の前に現れた。
その格子は右に左に、どこまでも続いていて
この敷地の端である事はすぐに分かった。
「扉……扉、は…」
淳太さん曰く、この近くに扉があるはずや。
格子に駆け寄った僕は扉を探すべく左右に目線を走らせる。
「…あった…！」
すると右のやや下の方に
屈んで通るような低めの格子扉を見つけた。
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#TODAY(プロフ) - キャラメルさん» 初めまして！！読んでくださってありがとうございました！他には無い話を書きたくてだいぶファンタジックになってしまいましたが、難しくは無かったでしょうか…(汗)Shadowsを聴いた時はこのお話を思い出して下さったら幸いです。他の作品も頑張ります！！ (2021年12月31日 21時) (
レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - #TODAYさん初めまして！この作品の世界観にぐっと引き込まれてしまい、思わず感想を伝えたくてコメントさせて頂きました！！！最後の方は読みながら本当に泣きそうになりました！他の作品も読ませていただきます！最高の作品に出会えたことに感謝します！ (2021年12月31日 13時) (レス) @page35 id: 826f2c597b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#TODAY | 作成日時：2021年9月15日 16時
