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「どっちや…」
排気口の中を進んだ僕は、数回曲がった先に入口と同じような格子を見つけ、そこから外に出た。
そこは所狭しと木々が並ぶ森に面していて、
人はいなさそうやった。
騒がしい音も、怖いぐらいに聞こえない。
風が木々の隙間を通り抜ける音が響いて、僕は場違いな気がしてしょうがなかった。
そして、早速壁にぶち当たってしまった。
右も左も同じような景色が続く中、
どちらの方にあの桜の木があるのか全く分からん。
ああ、外に出た後のこともちゃんと淳太さんに聞いておくべきやった。
せやけど、今僕は独りや。
飛び回る風に聞いても、答えてはくれへん。
右？
左？
この選択を誤れば、危ない。
もう、太陽がだいぶ傾いとる。
ほんまに、すぐに真っ暗になってまう。
そうすれば、光もない中外に出るなんて、不可能に近くなるだろう。
ここまで来て、建物の中に戻るなんて、
あかん、それだけは考えられへん。
今、戻ったら…
僕に明日は来ない。
音を立てる心臓に手を当て、
深呼吸。
右か、左か。
僕は今、どこにおる？
あの階段から出た時、左側にあった廊下はいつも外に出る時に歩いてた廊下や。
せやからあの廊下の先に行けば外出実験用の扉がある。
僕はその廊下に背を向け右に曲がった。
そんで、右手にある扉を開けて中に進んで、左の排気口に入った。
そこからまっすぐ進んで、まず右に曲がって、その次に左に曲がって……
「わ、分からん……」
頭からもう一度繰り返してみても
自分がどこにおるのか検討もつかない。
せめて桜の木の方角が分かればええねんけど…
「方角っ、………夕日…？」
夕日。
東から昇って西に沈む太陽。
せやから、夕日は西の空にしか浮かばへん。
あの桜の木は建物の陰に隠れて夕陽が見れんかったから、
建物から見て、東側にあるってことや…！
せやったら今、夕日は……
目を細め、空を見上げる。
左側には赤く染った空が広がっていた。
「こっちが、西っ……てことは、右や…！」
慌てて夕日に背を向け走り出した。
お願いします。
僕の今までの勉強の成果が、ここで発揮されますように。
祈り続けながら走った先、
建物の角を曲がると、淡いピンク色の花々が
風に揺れていた。
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#TODAY(プロフ) - キャラメルさん» 初めまして！！読んでくださってありがとうございました！他には無い話を書きたくてだいぶファンタジックになってしまいましたが、難しくは無かったでしょうか…(汗)Shadowsを聴いた時はこのお話を思い出して下さったら幸いです。他の作品も頑張ります！！ (2021年12月31日 21時) (
レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - #TODAYさん初めまして！この作品の世界観にぐっと引き込まれてしまい、思わず感想を伝えたくてコメントさせて頂きました！！！最後の方は読みながら本当に泣きそうになりました！他の作品も読ませていただきます！最高の作品に出会えたことに感謝します！ (2021年12月31日 13時) (レス) @page35 id: 826f2c597b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#TODAY | 作成日時：2021年9月15日 16時
