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正直、もうだいぶキツイ。
淳太さんの少し後ろを、彼の手を繋ぎながら登り続けているのだが、
どうやらまだ、1階には着いていないらしい。
薄暗い階段は
あまり人が通らないのか、少しホコリっぽくて
その場にいるだけでも気持ちが悪い。
それに、窓も何も無いので、
同じ景色がグルグルと続いていき、なんだか目が回る。
「智洋…少し、休むか？」
「いえ、…そんなん、してる、暇はっ…ないからっ……」
「でも、ここで体力使い果たしたら、」
「大丈夫ですっ………いきましょう…」
大丈夫、大丈夫って、自分に嘘をついてみる。
けれど、ほんまは全然大丈夫やないこと、
僕も、淳太さんも、よく分かってる。
「えっ、」
「はよ、乗れって。」
淳太さんは、僕と繋いでいた手をパッと離し、
僕の前に屈んだ。
一瞬何をしているのか分からなかったが
どうやら背中に乗れと言うらしい。
「いや、大丈夫ですって、」
「大丈夫やないやろ。そんぐらい分かるわ。」
「いや、でも、淳太さんが疲れてまうっ…」
「俺はどうせ、1階までしか行かへんから。それに、お前と違って俺は毎日忙しなく動き回っとんねん。体力舐めんなよ？笑」
「…淳太さんっ……」
「外、行きたいんやろ？なら、ここで少しでも体力余らせとかな。外の方が辛いで。」
「……はい、ありがとうございます…」
彼は、小さな電気に照らされて
とても綺麗に微笑んだ。
僕はその笑顔に背中を押され、
そっと、彼の首に手を回す。
よっ、という小さな声と共に高くなった視界。
そのまま、1歩ずつまた、歩き始めた。
「重くないですか…？」
「ああ、全然。いつも持っとる荷物の方が重いわ。」
「いつも、大変なんですね…」
「…せやな。………よしっ、あと4階や。」
細いけど、僕やって身長はそれなりにある。
せやから軽い訳ない。
それなのに淳太さんは、着実に1歩ずつ
階段を昇っていく。
2人の足音が、1人になった。
「Aは、……大丈夫ですかね…」
「あいつならもう外に出れとるよ。」
「え？」
「…残念やけどなぁ、智洋。ここの警備は子供が職員の目を掻い潜って外に出れる程甘くは無い。」
「…え、じゃぁAは……」
「照史にも俺から伝えてある。お前らが脱出試みてるって。」
淳太さんの背中は、以外にも大きくて
とてもとても、温かかった。
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#TODAY(プロフ) - キャラメルさん» 初めまして！！読んでくださってありがとうございました！他には無い話を書きたくてだいぶファンタジックになってしまいましたが、難しくは無かったでしょうか…(汗)Shadowsを聴いた時はこのお話を思い出して下さったら幸いです。他の作品も頑張ります！！ (2021年12月31日 21時) (
レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - #TODAYさん初めまして！この作品の世界観にぐっと引き込まれてしまい、思わず感想を伝えたくてコメントさせて頂きました！！！最後の方は読みながら本当に泣きそうになりました！他の作品も読ませていただきます！最高の作品に出会えたことに感謝します！ (2021年12月31日 13時) (レス) @page35 id: 826f2c597b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#TODAY | 作成日時：2021年9月15日 16時
