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「……わぁっ」

「あら」

 闇雲に走っていると、誰かにぶつかった。顔を見上げて私は……驚いた。たくさんある目が、こっちを見ていた。世斃悪(ぜべいあ)様だ。口元や指にたまうさの欠片をつけた世斃悪(ぜべいあ)様は、指を舌で舐めて、ニタァと笑った。

「あなた、嶷徒(ぎょくと)とかいう兎でしょう。どうして共食いしているのかしら?」

 共食い。世斃悪(ぜべいあ)様は私がたまうさの欠片に食べるをしたのが知っている?咄嗟に口元を拭おうとしたけれど、その手を世斃悪(ぜべいあ)様が掴む。

 唇の端をおかしいくらいに吊り上げて……喉の奥から、ぐぎっ、ぐぎっと、嫌な音をたてる。それが笑い声だと気付いて、本当に気持ちが悪くなった。

「あ、あ……やめて、やめてください。食べるをしないで……」

「食べるぅ?」

 世斃悪(ぜべいあ)様はまたぐぎっ、ぐぎっと笑った。それがあまりにも怖くて、震えてしまう。

「食べないわよ。だってあなた、中身は桜餡でしょう?桜餡は食べ飽きちゃったのよね。カスタードとかチョコレートとか……というか肉類が食べたいわ。ここ、甘いものばっかりしか出さないんだもの」

 何も言えなくて押し黙っていると、世斃悪(ぜべいあ)様は少し屈んでこちらを覗き込んできた。その悍ましい顔を見たくないのに、怖すぎて顔を背ける事すらできない。

 その目、目が、私を見ている。

「あなた、自分についてどれくらい知っているの?」

「えっ?えっと……嶷徒(ぎょくと)、です。白珠蜈輪椄姫(しらたまのぐわつひめ)様に作られて、尊い方々にお仕えするために存在しています」

「あはは!」

 世斃悪(ぜべいあ)様は笑う。おかしそうに。

「ねえ、良い事教えてあげようか?」

「ひ……は、はい」

 断る事もできなくて、頷いた。頷いてしまった。

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ミクミキ(プロフ) - ぱるむのお部屋さん» ありがとうございます!励みになります (6月30日 21時) (レス) id: bce403cc8a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむのお部屋(プロフ) - たまうさかわいい〜イラストもとてもかわいくて素敵ですね!これからも頑張ってください! (6月30日 20時) (レス) id: 0955046302 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年6月27日 21時

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