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「たまー?」

「たままー!」

 廊下を歩いていると、たまうさが何匹かぽよぽよと跳ねていた。お喋りをしているのか、たまたまと能天気に鳴いている。

 私はたまうさの一匹を持ち上げる。たま?と、たまうさは不思議そうに鳴いていた。

 私は世斃悪(ぜべいあ)様の事を思い出していた。たまうさに食べるをしていたあの姿。引き裂いて、中身が床にこぼれるのも厭わずに食べるをしていたあの姿。最後には床に散らばったたまうさの欠片を、四つん這いになって食べるをしていた。その姿はあんまりにも恐ろしくて、目を反らす事すらできなかった。

 世斃悪(ぜべいあ)様にバラバラにされたたまうさ達の中身はいろんな色だった。私の髪と同じ色。阿月(あづき)様の髪と同じ色。(もえ)さんの髪と同じ色。それぞれの色は桜色、琥珀色、若草色と言うんだと巻物に書いてあったような。

 今抱かれるたまうさは、ほのかに桜色をしている。この子の中身は、私の髪と同じ色なんだろうか。

「ねえ、食べるをされるのが怖くない?」

「たまま?」

 たまうさはよく分かってないみたいだった。他のたまうさは、だっこされているのが羨ましいのか、私の周りをぽよぽよ跳ねながら鳴いていた。

 その時、私は……とんでもない事をした。今思えば、本当にどうしてそんな事をしたのか分からなかった。

 私はたまうさの長く延びた片耳、その先端をちぎった。指でではなく、口で。そのまま、口の中のたまうさの欠片を、口の動きと舌で喉奥へ押し込む。不思議な感覚だった。たまうさを口に含むと、とても良い心地だった。

「たま?」

 たまうさは耳の先端がないのに気付いてないのか、呑気そうに鳴く。けれど、私の足元のたまうさはにわかに騒ぎ始めた。

「たまー?!」

「たま、たまー!」

「たまたまー!たまー!」

「……うるさいな」

 手に持っていたたまうさを降ろす。そして、逃げるみたいに走った。

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ミクミキ(プロフ) - ぱるむのお部屋さん» ありがとうございます!励みになります (6月30日 21時) (レス) id: bce403cc8a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむのお部屋(プロフ) - たまうさかわいい〜イラストもとてもかわいくて素敵ですね!これからも頑張ってください! (6月30日 20時) (レス) id: 0955046302 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年6月27日 21時

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