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「それじゃあ、火群命(ほむらのみこと)様は?」

 阿月(あづき)様が問いかける。私は少しだけ考えて、答えた。

「悪い人ではない……と、思います。それに、すごく強そうでした」

 私の答えにふぅんと、阿月(あづき)様は気の抜けた相槌をした。

 でもそれだけで、阿月(あづき)様は何かの話、例えば火群命(ほむらのみこと)様の話をしてはくれなかった。私は火群命(ほむらのみこと)様の事が少し気になっていたけれど、聞くほどでもないような気もした。

 何も言わずに歩いていると、いつの間にか部屋の前に辿り着いた。(もえ)さんがいない事を除けばいつもの通りの部屋である。

 阿月(あづき)様に一礼して、部屋の扉を閉める。

「……」

「?」

 扉の向こうで何か声が聞こえた。阿月(あづき)様の声だ。何か独り言だろうか。耳を澄ませたけれど、声がしたのはその一回だけ。扉を開けて聞こうかと迷っているうち、何も聞こえなくなった。静かだった。

 私は座布団に座る。棚から巻物をいくつか抜き取って読む。既に読んだものばかりで、すぐに飽きる。棚に戻すのも面倒臭かったから床に置いて、そして私も床に寝転がる。

 (もえ)さんがいなくなったけど、これから私はどうなるんだろう。私も尊くなるためにここに来たと聞いたけど……もしそれが本当だとしたら、私も食べるをされてしまうのだろうか?

 あの時の(もえ)さんを思い出す。すごい笑顔のままでバラバラになっていった(もえ)さん。全身が細かくなって、中身がこぼれ落ちてもおかしくないのに、火群命(ほむらのみこと)様が手で押さえるから、指と指の隙間から少しだけ覗いて見える、小さくなった(もえ)さん。

 そしてその(もえ)さんを自分に置き換えて想像してしまって、背筋がゾワゾワとしてきた。思わず口からはああ、と小さな悲鳴が出てしまった。

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ミクミキ(プロフ) - ぱるむのお部屋さん» ありがとうございます!励みになります (6月30日 21時) (レス) id: bce403cc8a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむのお部屋(プロフ) - たまうさかわいい〜イラストもとてもかわいくて素敵ですね!これからも頑張ってください! (6月30日 20時) (レス) id: 0955046302 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年6月27日 21時

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