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私はその日、ぼんやり廊下を歩いていた。尊くなるという行為が、食べるという行為が、理解できなくて。怖さと困惑で頭が変になりそうだった。

 廊下をぼんやり、歩いて、歩いて……匂いに気が付いた。それから、あの風に似た奇妙な感覚も。

 尊い方々が近くにいる。思い出したのは、世斃悪(ぜべいあ)様。でも、世斃悪(ぜべいあ)様とはまた少し違うような感じがした。

「お主」

 声をかけられて、そこでようやくはっとした。目の前に、匂いと感覚の主である尊い方々がいたのだ。

 その人は……世斃悪(ぜべいあ)様ではない。

 巻物でしか見た事のないような鎧を着込んでいる人だった。耳はない。いや……小さい耳が顔の横についている。顔の半分が変な色をしていた。

「え?あ、はい」

「お主のような童が何故ここにおる?ここは幼子のおるべき場所ではない。疾く部屋へ帰りなさい」

 その人の顔には感情が浮かんでいる様子はない。けれどその人の言っている内容は私を心配しているようなものだった。どう反応すれば良いのか分からなくて何も返せなくていると、その人は少ししゃがんで私と目線を合わせて言った。

「お主は嶷徒(ぎょくと)であろう。ここがどういう場所か知っておらなんだか?」

「あ……えっと」

 嶷徒(ぎょくと)。確か、私達の種族の名前。しどろもどろになっていると、後ろから声がした。

「申し訳ありませぇん、火群命(ほむらのみこと)様。この子はまだ新人でしてぇ……」

 振り向かなくとも分かる。阿月(あづき)様の声だ。ぐいっと肩を掴まれて後ろに引っ張られる。火群命(ほむらのみこと)様と呼ばれたその人は、厳かに頷いた。

 阿月(あづき)様に連れられて部屋に戻される。部屋には(もえ)さんがいて、布団ですうすう眠っていた。

開耶(さくや)、向こうは尊い方々のための場所なのよぉ。だからあまり行かないようにねぇ?」

「は、はい」

 阿月(あづき)様はいつもの通り笑っている。あまり怒っているようには見えなかった。

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ミクミキ(プロフ) - ぱるむのお部屋さん» ありがとうございます!励みになります (6月30日 21時) (レス) id: bce403cc8a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむのお部屋(プロフ) - たまうさかわいい〜イラストもとてもかわいくて素敵ですね!これからも頑張ってください! (6月30日 20時) (レス) id: 0955046302 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年6月27日 21時

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