検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:2,423 hit

9 ページ11

(もえ)さんはかなり気の強い性格らしかった。私の事が気に入らないのか、睨みながら文句を言ったりしてくる事もあった。

 けれど巻物を読んでいると、(もえ)さんが私に当たりの強い理由が何となく分かった。

 (もえ)さんの生まれである蓬莱島(よもぎがしま)は、尊い方々のために尽くす一族らしかった。(もえ)さん自身も尊い方々のためにいろんな修練をしているようで、いつも難しい巻物を読んでいたり、何かの小物を作ったりしていた。そんな一族だから、ぽっと出の私が許せないんだろう。

 私は巻物を閉じる。いつの間にか膝の上に乗ってきていたたまうさをおろした。この建物にもたまうさが放し飼いにされているようで、たまにこの部屋に入ってきてはじゃれついてくるのだ。

「たまうさ、今は遊べないの」

「たま〜?」

 たまうさは不思議そうにしていたけれど、向こうへ行ってほしいと言ったのが分かったのか、ちょっと悲しそうにしていた。

開耶(さくや)〜?」

 部屋の入り口の方から声がした。(もえ)さんの声じゃない。阿月(あづき)様の声だ。振り向くと、やっぱり阿月(あづき)様。そのすぐ後ろには(もえ)さんが侍っている。

「は、はい!」

(もえ)からも聞いてるでしょうけど、尊い方々への奉仕、しましょう?」

「ほ、奉仕ですか?でも、何を……」

「だーいじょーぶー。簡単なやつ……たまうさを何匹か尊い方々へ持っていくだけよ」

 よく分からなかったけれど、阿月(あづき)様に促されるままに立ち上がって廊下を歩く。そんな私の事が気になるのか、さっきまで膝に乗ってきていたたまうさがぽよぽよ跳ねてついてこようとした。

「あら、ちょうどいいわね。その子も連れてきてちょうだい」

「はい。たまうさ、おいで」

「たまー」

10→←8



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 6.4/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミクミキ(プロフ) - ぱるむのお部屋さん» ありがとうございます!励みになります (2022年6月30日 21時) (レス) id: bce403cc8a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむのお部屋(プロフ) - たまうさかわいい〜イラストもとてもかわいくて素敵ですね!これからも頑張ってください! (2022年6月30日 20時) (レス) id: 0955046302 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年6月27日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。