【npl】鉢合わせ【8】 (ページ10)

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コンコンと鉄製の扉をノックしてみる。

八野先輩…居るだろうか。

翌晩、矢張り見掛けた以上一度は挨拶に伺うのが日本の礼儀なのかと思い、市販の菓子を紙袋と共に先輩の元へこうして持ってきた訳だ。

八野「はい、どなたでしょうか」

インターホン越しで疲れた声音で応答する彼を心配に思いながらも「田部井です」と一言。

予想以上の速さでガチャとドアが開く。そこには勿論八野先輩の姿が。

白ニットに少しぼさっとしたセンター分けの髪と、くっきりと残った隈は、日頃の彼を表すのには非常にわかりやすく、そして苦労人なのだと悟る。

私「昨日ぶりですね、こんばんは。お向いさんなんでお世話になると思って…あと高校時代の感謝も。」

先輩はわかりやすく口許を綻ばせ、めちゃくちゃ嬉しい…と零す。

私「隈凄いですよ、早寝早起きしてください！」

八野「 …ふふ、そうだね。今日は早く寝る。」

昔の先輩とは違って、どこか大人らしい。

身長だとか服装だとか、見た目の話じゃなくて。

雰囲気なのだろうか。ちょっと、

私「先輩カッコ良くなりましたね！」

八野「 …は？え、何、突然… 」

困ったように毛先を触り出す。

私「いや！なんかそう思ったので！あ、そうだ、今度ご飯でも食べに行きましょうよ。」

八野「 …俺でいいの？」

私「？はい、だって先輩を誘ってるのに他に誰と行こうって言うんですかー！」

八野「 …んははは、確かに、そうだね。じゃあ連絡先でも交換しとく？」

是非、と返せば先輩のアドレスを追加した。