【npl】鉢合わせ【8】 (ページ43)

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Aquarium ページ43

午前10時を回った、ある平日の休暇。

人が多く、中々前に進むことも出来ない大混雑。

私と四谷先輩はやっとの事でチケットを渡し、水族館の中に入場出来た。

四谷「やっぱり混んでるなあ。はぐれないようにしないとね。」

なんて言って自然に手を差し出してきたが、断固拒否。あくまで私の息抜きであって、彼といい雰囲気になりたい訳じゃない。

四谷「 … つれないなあ。」

苦笑しながら手をズボンのポケットに突っ込むと、目の前の水槽をチラッと覗き込んだ。

透明感があり、バックから射し込む紫色の蛍光灯によって、遥かに美しい景色が見られる。

その幻想的な、或いは神秘的な水槽にはクラゲがふよふよと浮かんでいるのがわかる。

パシャパシャとシャッターを切らす人の間を潜り抜け、小型の水槽でちまっとして可愛らしい小魚を眺める。

四谷「へえ、こういう色の魚もいるんだね」

私「そうですね！可愛い！」

意外にも彼は真面目にそれぞれの魚の説明文を読んだり、それを見た上で再度魚を見て楽しんでいた。

てっきりクーポン券がたまたまあったから私を誘うための口実に使っただけで、水族館自体には興味が無いものだと思ってたけど、勘違いしてたな…。

四谷「 … あ、ペンギンのショー見れるって。」

私「！ペンギン … 」

はっちが来てたら大喜びで見に行ってたんだろうなあ。何となく喜ぶ姿が想像出来る。

四谷「 … … でも1時間後だ。まあその間は回ってようか。」