【npl】鉢合わせ【8】 (ページ4)

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引越しの翌晩、何気なく外の空気を吸いたいなあ、何てらしくもない事を思ってベランダに出てみた。

するとどうだろう、一人暮らしの不安なんて吹っ飛ぶように驚く人物が居た。

八野先輩。

高校生の頃にお世話になった先輩が、偶然にも向かいのマンションに住んでいたのだ。

先輩は気だるげに珈琲を啜っていたが、そんな事お構い無しについ声を掛けてしまった。

八野「 … うそ、だろ」

マグカップから口を離してそう呟く。私も嘘のように思える。だってこんなの、運命じゃん。

しかし先輩は何とも言えない表情でその場を去り、カーテンで部屋の中を覆う。

先輩が居なくなるまで思わず見てしまったが、未だに唖然としている。

ふと、鼻先に水滴が垂れる。──雨だ。

次第に勢いは増していき、流石に濡れるのだけは勘弁なので部屋に戻り雨戸を閉める。

私「明日からまた仕事か… 」

誰も聞いてないのは当たり前だけど、誰かに励まして欲しくそう呟く。

暖房のついた快適なコンディションと、柔らかなベッドに倒れ込めば、心地よい雨音と共にすぐ様眠りについた。