13.変革の始まり ページ13
グミみたいなお手軽さでこの問題が解決出来たらいいのに。
鞄の中から出てきた袋の中にはたくさんの粒が入っていて、消費するにはかなりの時間を有しそうだった。
「…A〜」
重たげな声がしたと同時に背中に鈍い痛みが走る。
腹に回された細い腕は私の腹を締め付けている。お腹から空気が上に登っていく。
「ぅぐ、何?どうしたの?」
背中に頭をこすりつけているイナは随分と荒れていた。
乱れた髪を整えてやれば、彼女は低く唸って顔を上げる。
「…もし私が急に行方不明になっても、骨は探して拾ってね」
「ちょっと意味が分からない」
一体何があったんだ。
項垂れる彼女にどうしていいものか分からず、私の両手は右往左往している。
これじゃあ、怪しげな占い師みたいだ。
「あの」
教室の喧騒が急に一瞬収まったと同時に私達に影がかかる。
声をかけてきた人物は大きい人だった。
見慣れてはいないけれど、朧気な見覚えはある。
成長期がまばらな新入生の中でも一際背丈の高い男の子だ。女の子達の噂話の中でも何度か名前を聞いた気がするが、覚えてはいない。
彼はイナの手を握ると、高い位置から私の顔を見つめてくる。
「ヌナ、借りてもいいですか。今日一緒に帰る約束してて」
「えっ…あー、どう」
どうぞと言い切る前に、ガシリと強い力で私の腕をイナが掴んだ。
ブンブンと空気を切る音がしそうなほど彼女は首を強く横に振る。
「むりむりむり、私を見捨てないでA!」
「え」
約束してるんじゃないの!?
驚いて二人の顔を見比べてしまうが、方や満面の笑み、方や真っ青でこの状況について説明をしてくれる人はいそうにない。
「あの、うちのハン・イナとどういう関係で」
口の前に手を添え小さく問いかけると、彼もそれに答えるように背をかがめて小さく答える。
「アタック中なんです」
…なるほどアタック中。
イナは気立ての優しい子だ。
普段から動きが遅くてトロい私に比べて、しっかりしている姉御肌気質なところがある。
それに加えて、面倒みも凄くいい。
私という厄介な友達を抱えていること以外、何の文句も付けようのない子なのだ。
「見る目があるね」
「でしょう?」
「ちょっと何の話!?」
耳を赤くした友人が私の腕を抱きしめるようにして、左へ右へと揺らしていく。
「A先輩も一緒にどうですか。途中まででもいいので」
少し酔いそうになる中でふと問われた。
14.あくまで下調べのため→←12.フレーバーも変わるのだから
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ぴ(プロフ) - 展開がまだ分からないんですけどワクワクしてます〜!更新停止中?みたいなのでしばらく更新ないのかもしれないのですが、気長に待ってます😌😌😌 (7月1日 0時) (レス) @page14 id: d5c63dc535 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナシノゴンベ | 作成日時:2023年3月29日 1時