愛情は思ったより尊い【赤井秀一】

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“守る”

よくラブストーリーなんかで男が言うその一言は､女を何から守るというのだろうか｡

国家を守るために公安(ゼロ)に所属している俺は､ふと考える｡

あらゆる災厄から守ったとしても､心を守れていなければ意味はない｡
精神が安定してこそ初めて､本当の意味で人を愛することができると思う｡

けれど､一番理想とするならば守り守られる関係ではないか｡
人間は完璧ではないから､そこを補い合うことができる関係が一番だろう｡

どちらかが守り､どちらかが守られるだけでは､疲れてしまうだろう｡
そしてそれを理解しないまま続けてしまえば､いつか取り返しのつかないことになるのではと思っている｡

長々と持論を語ってしまってすまない｡
言いたいことは一つだ｡


俺は確かに柊Aを好きだった｡
安室透ではなく､降谷零として｡

俺の初恋は､自覚したと同時に散った｡

別に､それがどうというわけではない｡
悲観的に見たくなんてない｡

俺は一つ､思う｡

彼女が幸せになれること｡

その為には､スコッチの死に関与したことは明らかなライ…本名､赤井秀一の存在が必要だった｡

殺したいほどに憎んでいたことは確かだ｡
その思いは変わっていないし､これからも変わることはないと思う｡
その憎く思う気持ちを､隠すだけだ｡

だから今､2つの仮面を被って､赤井秀一が死なないように｡柊さんが悲しまないように｡

「バーボン､仕事よ」
「忙しいですね､ベルモット」

バーボンとして

「こんにちは､安室さん!」
「いらっしゃいませ､園子さん､蘭さん」

安室透として笑う｡

「降谷さん､例の組織が」
「分かった､風見これを頼む」

降谷零として､組織を必ず潰す｡



柊さん､貴女には笑っていてほしい｡


せめて安室透として接する俺を







好きでいてほしい｡







なんて､叶うはずないけど､それでも｡


心のほんの片隅で､貴女を思うことを赦してほしい｡


「優秀なハッカーである貴方がNOCだなんて思いませんでした｡…とても残念だ」

パンッ


貴女が僕を好きになってくれなくて､良かった｡

矛盾する気持ちを､すぐに消した｡

「お疲れ様､まさかCIAの狗だとは思わなかったわ…」
「えぇ､コードネームを貰っていたとしても､油断できませんね」

さよなら､恋心｡
お久しぶりです､冷酷な僕(バーボン)｡

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