月が綺麗な夜に貴方と

夜に貴方と ページ49

先輩がゆっくりと近づいてくる


先輩の綺麗な肌や黒髪が月明かりに優しく照らされて




私は思わず見惚れてしまった



話さないといけない事をバスの中で整理したのにも関わらず




言葉が出ずに、ただ沈黙していた時



ウォヌ先輩がボソリと呟いた




『今夜は月が綺麗ですね』




普通に聞いたら、何ともないその言葉




でも、その言葉で私は顔が真っ赤になった



それって…




本好きには有名な言い回し




その言葉の本当の意味は、、、




心臓の音は次第に大きくなっていく




先輩をじっと見つめると




『何だよ、その顔』


とウォヌ先輩に笑われてしまった




そこで私はハッと思い出した



そうだ、言わなくちゃ…！





学校祭の日のことと、私の気持ちを…




私は少し早口に先輩に伝えようとした




「私、学校祭の時に先輩が女の人と仲よさそうにしてて、それで



………！？！」




私が次の言葉を発することなく、目を大きく見開いた



なぜなら



ウォヌ先輩が、私の口を塞いだから




私は、突然のファーストキスに驚きを感じてはいたのたが




静かに目を閉じて先輩の腰に腕を回すことにした




しばらくすると、先輩は私の下唇を優しく噛んでから離れたのだが




その一瞬の出来事が何時間もあったかのように感じられた




私の頰に手を添える先輩の顔はほんのり赤くなっているのを見ると



今までのモヤモヤした気持ちなんていつの間にか何処かへ飛んでっていた




『お前の勘違いしてるのは、多分俺の母さんだよ、童顔でよく間違われるからそうじゃないかって思った。

でも、、、こんな事は、本当に好きな奴にしかやらないから』



ウォヌ先輩が頭をかきながら話す



その時に私の頬を伝った涙は


今まで流していた悲しみの涙なんかではない


嬉しいと感じた時にでる涙だ…





困った顔で私の涙を拭う先輩を、抱きしめると


先輩が耳元で返事は？と囁いた




やっぱり、月が綺麗ですねの意味は…





私はにっこり微笑んで、言った





「死んでもいいです！」




これは私なりに考えた返事だったのに



『それは割とダサい』



「えー！なんでですか！」





折角いいの思いついたと思ったのに！








「…じゃあ、こういうのはどうですか？」






綺麗な月明かりの下




私は少し背伸びをして





ゆっくりと、彼と唇を重ね合わせた

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