月が綺麗な夜に貴方と

はしれ ページ47

こんなに理解不能な光景は、私も生まれて初めて目の当たりにした




「二人とも……何で笑ってるんですか？」




目の前には、笑いを必死に堪えるミンギュさんとミンハオさん



私…そんなに面白いこと言ったっけ？



たしか、ウォヌ先輩に彼女がいて


私は失恋したって言ったと思うんだけどな…




ついに、我慢できなくなった様で




二人は同時に声を上げて笑い出した




MG‘君が振られた？それ何の冗談？？’




まるで、私が面白い冗談を言ったかのように話すミンギュさん




…何で？本当の事なのに！！



ただポカンと口を開けていると




MH‘…まさか、君ってめっちゃ鈍感な子？’




と笑いながら聴いてきた




MG‘ウォヌに彼女なんている訳ないよ！’




その能天気なミンギュさんの言葉に、私は思わず大きな声を出してしまった




「なんでそんな事言い切れるんですか？
私見ちゃったんですよ、先輩が綺麗な女の人と仲よさそうにしてる所…」




私だって、こんなに先輩のことが好きだったのに




涙と一緒に弱々しい声で口から出た言葉







ミンギュさんは、一瞬驚いた顔を見せたがすぐにいつもの笑顔に戻ってあやす様な声で言った




MG‘…多分君がウォヌを想っているみたいに、ウォヌも君のことが好きでたまらないんだと思うよ。


学祭で俺が君をナンパしようとしたら、ウォヌが君の耳を塞いで言った言葉…



Aは俺の女だって’





ずっと分からなかった言葉




パズルのピースがカチリとハマった





ウォヌ先輩は、あの時そんな事を言ってたの？




そんな風に思われてたの？



言葉の出ない私に、ミンハオさんがこう付け足した




MH‘あと、君と居る時のアイツの顔みたら、君のことが好きなんだって分かるよ

…すごく幸せそうな顔してるから’




ウォヌ先輩の顔が浮かぶ



くすぐったそうな、いたずらっ子みたいな


大好きな、あの笑顔…



私、ずっと勘違いしてたの？



MG‘失恋で涙を流すのは、自分の気持ちをウォヌに伝えてからでも遅くはないんじゃないかな？’



そうだ…私勝手に失恋したって思い込んでた



でも、自分の思いは先輩に伝えてない



まだ、終わってない




ミンギュさんが、ニカッと笑って
となりで、ミンハオさんも頷いていた




一旦、泣くのはやめだ



グイっと手の甲で涙を拭う





「…私、行ってきます！！」






無愛想で、いじわるで



とても愛しい



あの人の元へーー

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