月が綺麗な夜に貴方と

ひかり ページ45

その日私はたまたま、友人と街へ出掛けてた






あの事があってから、ずっと放課後は真っ直ぐ家へ帰っていたのだが、





友人達は、そんな明らかに元気のない私の姿を見て気を遣ったのだと思う





街で遊ばないかと提案してくれた





私は、最初はそこまで乗り気じゃなかったけど





折角私の事を心配して誘ってくれた訳だし





何より、直ぐにでもこの嫌な気持ちを紛らわせたくて誘いを受けた






友達は私の事情は特に聞かずにいつもの様に接してくれた





いつもみたいにに冗談を言って笑いあったり、プリクラを撮ったり、カフェで何でもない話をしたり…





その時間は私の心にゆとりを与える様なものだった




その時は先輩の事を考えずに楽しめたのは、紛れもなく友達のお陰だ




今まで、ウォヌ先輩に気を取られすぎてて、周りがちゃんと見えてなかったけれど




私、こんなに良い友達を持っていたんだな…





失恋をずっと一人で抱え込んで





たった一人で乗り越えようとしていたけど




もっと、友達を頼ってもいいのかな？





ずっとモヤモヤしていた胸の中が、


少しだけ晴れていくような気がした





その後は友達と話したりカラオケに行ったり




気づいたら6時を回っていて、空は綺麗なオレンジ色に染まっていた




友達と別れて、一人で駅へ向かって歩く





さっきまであんなに騒いで、笑っていたのに…





突然一人になると寂しさが、ジワリと込み上がってくる




気づいたら、沢山の人とすれ違う中で、背の高い男性をつい目で追っていた…





その人は全然ウォヌ先輩ではなくて、その事実を残念だと思ってしまって





そこでハッとした





…まだ、心の中のどこかでウォヌ先輩を探している自分がいるんだ






つくづく、自分の諦めの悪さに嫌気がさして軽くため息をついて歩いていると






誰かに、後ろから声を掛けられた









‘こんな所で、何してんの？’

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