月が綺麗な夜に貴方と

やさしさ ページ42

『……おい！！』





行こうとした私の腕は



ウォヌ先輩に引っ張られて




歩いていた足が止まった




『どうしたんだよ』




ウォヌ先輩が回り込んできたので、



無駄だと思いつつも手で顔を隠した




それでも、涙は私の手をすり抜けて



地面に落ちてゆく…




『おい、お前…何で泣いてるの？』



ウォヌ先輩のその言葉に



身体がビクッと反応した



こんな風になるはずじゃなかったのに…





ウォヌ先輩は何だかんだ優しいから



多分私が泣いてたら慰めてくれる



側にいてくれて、話を聞いてくれて、頭を撫でてくれる




例え、ウォヌ先輩の一番じゃなくても…




でも…でも、





そんなことされても、余計惨めな気持ちになるだけだ




「…何でも、、ないです」



震えている声を何とか振り絞って、ウォヌ先輩に伝えた



『は？』



説得力のカケラもない私の返答に対して



ウォヌ先輩の声が



苛立ちと困惑が混ざったようなものになる



『それで何もないわけないだろ』




私、先輩に失恋したんだよ




言える訳もないその言葉は


胸につっかえて黒いもやの様に広がっていく



『おい、せめてこっちを見ろよ』



ウォヌ先輩は困った挙句、



黙ってただ顔を隠してた私の手首を掴んで



グイっと上にあげた



強い力で振りほどけずにいると



ウォヌ先輩が顔を近づけてきて



至近距離で目が合う



目の前にウォヌ先輩の困った顔



そして、彼の瞳の中に映る



涙でぐちゃぐちゃの、ひどい顔をしてる私




手で押さえる事も出来なくなったので



いつまでも止まる事を知らない涙が



何回も、何回も頬を伝う



『何か言ってくれないとわかんねえよ』



ねえ、何でそんな悲しい顔をするの…？



そんな、寂しそうな声出さないでよ



ウォヌ先輩の指が、



私の頰の涙を優しく拭った



やめて…





そんなに優しくしないで、、、

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