story8*ふられちゃう日課 ページ10
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朝8時30分、早めに探偵社に到着した私。
ちなみに、此処に太宰さんはいらっしゃらない。
朝の入水とか云って川に向かうのはいつもの事で未だに一緒に出勤したことは無い。
「お、おはよう、ございます……!」
「あ、Aさん、おはようございます!」
「おはよう、A」
中に居たのは、鏡花ちゃんと敦くん。
そういえば昨日、明日は朝から依頼人の所へ行かなければならないって云っていた気がする。
毎日の日課になった『大声で挨拶(この場合、彼女にとっての大声であり、傍から見れば普通の大きさ)』を返してもらい、朝から嬉しくなる。
すると、とある事に気付いた敦くんが、苦い顔を向けてきた。
「Aさん……太宰さんは、今日も……」
「あ〜………うん、入水。」
苦笑いだけで済まされるのはまだマシな方。
此処に国木田さんでも居ればお咎めをくらうのは止められなかった私の方なんだから。
………まあ止めても無駄なんだけど。
「1回、私が本気で『心配だ』って泣いてみたら太宰さんは困り果てて入水を止めるのかなぁ………」
「……………割とえげつないですね。」
そんな話をしていると時間が来たのか、鏡花ちゃんが彼の服の裾をちょいちょいと引っ張った。
そうして、2人は社を出ていく。
(………鏡花ちゃん、可愛い。)
心の中で癒され、私は書類整理を始めた。
「あれ、Aだけなのかい?」
「晶子さん、おはようございます!」
暫くディスプレイとにらめっこをしていると、晶子さんが近づいてきた。
私はパソコンの画面から目を離す。
「なンだい、今日も太宰に振られたのかい?」
「あ、あはは………」
晶子さんがニヤリと笑って云う。
“振られた”というのは、私が毎朝太宰さんに『一緒に行きましょう』って誘っても、『入水するから無理。何なら一緒にする?』と断れられるどころか謎のお誘いを受けているということだ。
晶子さんの意地の悪いそれに苦笑いを返すと、ちょうど後に気配を感じる。
その時、ポタリと首筋に冷たい何かが落ちてきた。
「うひゃっ!」
「勘違いしちゃダメですよ、与謝野先生。日々振られてるのは私の方なんですから。」
聞こえてきたのは、耳に心地よい太宰さんの声。
背後に振り向くと…………
「だ、太宰さん!?!?」
「やっほーA♪」
…………全身ずぶ濡れの彼が立っていました。
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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時