story19*お願いは全力で ページ22
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1度ため息をついた中也さんは、背後に目を向けると向こうへ歩いていってしまった。
そして取引相手の人と部下らしき男の人たちに何かを告げると、その人たちがぞろぞろと帰っていく。
「あぁ………あとちょっとだったのに……!」
悔しさと自分の未熟さから涙目になっていると、太宰さんのクスリという笑い声が耳に入った。
驚いて目を向けると、優しく頭を撫でてくれる。
「大丈夫、まだ諦めるのは早いよ。今度は君が中也を説得させてみなよ。」
その言葉で、太宰さんの考えがピンと閃いた。
つまり、直接中也さんに此処を使わないでってお願いすればいいんだ!
太宰さんのナイスすぎるアイデアに関心と尊敬を向けながら、私は戻ってくる中也さんの方を向いた。
それを微妙な表情で見つめる太宰さん。
(さあ今度こそやるぞ!!)
(この子、捉え方間違えてないかな……)
中也さんが戻ってくると、まず最初に私は光の速さで頭を下げた。
「うぉお!?」
「中也さん、お願いします!取引をやめてください!」
「………げ、」
太宰さんの『不味い』という声が聞こえたような気がしたけど、もう云ってしまった。
顔を上げると、中也さんは厳しい顔をしていた。
それは、ポートマフィアの……………“悪”の顔だ。
「聞き捨てならねぇなァ。太宰と居る時点で手遅れだが……探偵社員として云ってンなら、残念だが無理な話だぞ。」
そう云って、中也さんはニヤリと笑った。
私は、どうしようか悩んだ。此処から出ていってほしいっていうのは、完全に探偵社への依頼だし……
そう考えていると、太宰さんが口を開いた。
「待って中也。語弊がある。」
「は?」
私は驚いて太宰さんの方へ目を向けた。
太宰さんは何処か面白そうな表情で、中也さんと私を見ていた。
「A、探偵社への依頼内容を教えてあげなよ。」
「え?………わかりました。」
太宰さんのことだし、何かあるのだろうと思って私は中也さんに依頼について話した。
すると、途端に呆れたように笑われた。
「な、なにか……間違ってます?」
「いや俺に聞かれても知らねェよ。でも、手前が云ってたのと全く違うじゃねぇか。」
中也さんは私の髪を撫で、優しく笑った。
そして、その行為に私が驚いているうちに背を向けてしまう。
「次の取引は横浜の廃ビルで決まりだな。」
……………そう言い残して。
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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時