story12*くっつけば解決 ページ15
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古びた館をどんどん進んでいく太宰さんの、その後を必死に付いていく。
私は尋常じゃない恐怖にしゃがみこみたい気持ちを抑え、前だけを見ていた。
「うぅ………だ、太宰さんは……こういうの、苦手じゃないんですか?」
「そうだねぇ……前に国木田君と似たようなところに来たことあるしね。」
怖さを紛らわすために太宰さんに話しかけるも、曖昧な解答が返ってきて終わってしまう。
………というか、それって苦手じゃない理由になっていない気がする。
何処かから、すぅっと風が吹き抜けるような気がして、私は必死に頭を動かした。
すると、自分がその考えを口にするより先に太宰さんが云った。
「やはり、とても人が住めるようなところでないが………誰かが居るのは間違いないね。」
「や、やっぱり、そうでしょうか……」
近くには開きっぱなしの窓、だけどそこに取り付けられたカーテンは真新しかった。
普通、誰もいないなら雨風で汚れちゃう筈なのに。
つまり、誰かがいて窓を開け閉めしてるということだ。
そう考えると、このお化け屋敷もただの古い建物に思えてきた。
「それかやっぱり、お化けが窓を開け閉めしてるのかもね………?」
「ひっ…!?」
………と思いたかったが、やはり無理だった。
途端に顔を真っ青にした私を、太宰さんは面白そうに笑いながら見ている。
すると何を思ったのか、いきなり私の腕を引っ張ってきた。
「え………」
「ほ〜ら、これで万事解決だ。」
気づいた時には、太宰さんの腕の中にすっぽりと収まっていた私の体。
驚いていて顔を上げると、その距離、数センチメートルで目が合った。
「お化けが怖いなら私にくっついていなよ。そうすれば、いつでも私が守ってあげるからね。」
「……!」
にっこりと微笑んだ太宰さん。
その深い瞳に吸い込まれてしまいそうで、私は思わず息を飲んだ。
「太宰さん……キュンとしました……」
「だから報告しなくてもいいってば。」
知らぬ合間にうっとりと眺めていたのか、太宰さんが私の眉間をデコピンするまでぼーっとしていた。
そして、今度は悪戯っ子のようにニヤリと笑うのだ。
「私に落ちるのも、時間の問題だね」
その、余りにも魅力的な表情に
ドキドキして、怖さを忘れることが出来ました。
「だ、太宰さん………」
どうやら私は、とんでもない人に好意を持たれたみたいです。
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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時