吉田大好きや ページ17
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「へ……? センラ、です」
思いもよらなかった質問だった。
俺の名前を聞いた星野さんは、「センラ……さん」と反復した。名前が珍しいとおもっているのだろう。
「すみません、突然下の名前も聞いちゃって。皆さんのお名前覚えようと思って!」
「あー、そういうことか。真面目で勉強熱心やね。これからは分からんことは分からんってハッキリ言うんやでー?」
「うっ……。そうですよね。がんばります!」
花が咲いたような笑顔でそう意気込んだ彼女は、俺にぺこりと一礼してから自分のデスクに戻って行った。
「待て、あの子のデスク俺の後ろやん」
全く気づかなかった。これから話す機会が増えるかもしれないな。もちろん話すのが嫌とか言うわけでも無いし、頑張ってる子は応援したくなるのだけれどAが不安になることはしたくない。なんてったって俺はAが大好きでメロメロだからだ。と心の中でドヤ顔をする。
資料を刷り終わって、自分のデスクに戻れば星野さんと目が合う。「デスク近かったんですね!」と笑いかけられて、そやねーと笑い返した。
「え、もう仲良くなったの? 噂の可愛い新入社員ちゃんと」
席が近い彼女に聞こえないくらいの声量で、椅子をこちらに近づけながら吉田はそう聞いてきた。
「噂になってんの? さっきコピーのやり方教えてお話した」
「ほーん。ま、お前にはかわいい彼女がいるから関係ないかぁ」
「俺の彼女や。かわいいとか軽く言うな殴るぞ」
「こっわ! じゃあ可愛いと思ってねーよ!」
「やかましい黙れ! Aはくっそかわいいわ!」
「どっちにしろ怒られるじゃねーか!」
コントみたいなやり取りを済ませてから、吉田は椅子を自分のデスクの前に戻した。そのまま視線だけこちらに向けて、不貞腐れた声で俺に声をかける。
「会議室B明日の15時使いたいですって俺の代わりに受付に電話しろ。お前の荒れた心を彼女に癒してもらえ」
「Aの声が聞ける……! 吉田くん大好き愛してるちゅっ」
「気持ちわりぃっ」
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すずらん(プロフ) - 気まぐれさんさん» 1年前から読んでいて下さりありがとうございます(;;) 他の作品まで! 嬉しいです!!(;;) とても励みになります、ありがとうございました◎ (2021年7月17日 1時) (レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます(;;) 必ず完結させるつもりですので、待っていてもらえるととても喜びます◎ (2021年7月17日 1時) (レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 雨宮しおりさん» 1年前から読んでいて下さりありがとうございます!!(;;) 私よりも遥かに文章力のある方に褒めて頂けてにやけてしまいました。雨宮しおり様も執筆活動の方頑張ってください!(*^^*) (2021年7月17日 1時) (レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - るなさん» ありがとうございます!(;;) 大好き、応援してる、等すべて励みになります! 更新が遅いにも関わらず、待っていていただきありがとうございました! (2021年7月17日 1時) (レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
気まぐれさん(プロフ) - 一年前から読ませてもらってます!!すずらんさんの他の作品も好きなので楽しみに待ってました!!続きのお話しどうなるんだろうと不安に思いつつ、楽しみに待っていたのでまた更新されて嬉しいです!!作者様のペースで無理せず頑張ってください!! (2021年6月22日 6時) (レス) id: 29504c3438 (このIDを非表示/違反報告)
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