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「あの二人の関係、ねぇ……。あの二人は、ほんまに特殊な関係やねんなぁ〜」
「と、いうと?」
思った回答と違ったのか、その大きな瞳を見開いて、こてんと首を傾げる。褒めるのは少し悔しいが、普通にかわいい。そりゃあ生徒にモテるわな。
「友達以上恋人未満 が1番近い言葉なんかもしれへん。けど、その言葉以上の気持ちをお互い抱いていて、でも臆病で。そんで、二人共が『あの人は友達』って言い張ってて。お互いがお互いを必要としてて、離れてしまったら、壊れてしまう。そんな、特殊な関係性……やと俺は思います」
志麻くんが近くにいなくて、勉強もままならず、精神が不安定になってしまったA。
さっき少しだけ屋上で話した志麻くんは、Aのことを話すとき、悲しそうな顔をしていた。離れたくないけど、Aの為に離れなあかん って。
「そう、なんだ。私が思っていたよりも、すごい関係性なのね」
ありがとう と微笑んだ先生と視線が絡まった。優しい顔だ。いえ、全然 と言いながらできるだけ笑顔を作った。
「じゃあ、2つ目の質問。折原くんは、彼女のことが好きなの?」
もちろん、恋愛的な意味でね。と付け加えられる。
予想はしていた質問。俺の話を聞いてくれようとしているのか、ただ単に興味があるから聞いているのかは分からない。が、優しい顔はしている。
「好きじゃない って言ったら?」
「月崎くんがいることを理事長に言いつけます」
「……好き、です。現在進行形で」
こんなの、ただの脅しだ。まんまと引っかかっている自分も自分だ。
「教えてくれて、ありがとう。彼らを見ているのは、苦痛じゃない?」
「最初は少しモヤモヤしてましたよ?でも、俺はね、Aと付き合いたいんじゃないんです。幸せになってほしいんですよ。好きな人と、好きなことをして、最高に幸せになってほしいんです。そうすれば、センラも満足やから」
綺麗事だ と言われそうな言葉。すべてが本音で、悔しいけれどAは俺のことなんか幼馴染み くらいにしか思っていないだろう。幼馴染みかどうかも危ういくらいだ。
「…………そう。私、あなたのこと、気に入ったかもしれない」
「ふふ、ありがとうございます。僕はあなたのこと苦手です」
「理事長に言わないことはちゃんと感謝してよね、センラくん」
この小悪魔のような先生は、気に入った人のことを下の名前で呼ぶという噂を聞いたことがある。……変なやつに気に入られてしまった。
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もちち(プロフ) - コメント失礼します。他サイトにてこちらの作品と同じ題名、同じ内容の小説を発見致しました。何回も見返したのですがやはり文章も同じで気になったのでコメントさせて頂きました。プリ小説というサイトで連載はされていますか、? (2023年4月18日 0時) (レス) id: 65f0ff2c55 (このIDを非表示/違反報告)
LiLi Ka(プロフ) - すっっっごく面白くて!大好きです!一気読みしちゃいましたw (2020年5月24日 16時) (レス) id: ef0b88e85e (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 完結おめでとうございます!この作品が好きすぎてもう何回も何回も見直しています! 最後ら辺は、子を見守る母のような気持ちになりました(笑)ほんとにお疲れ様です! (2020年5月7日 16時) (レス) id: aa4022e14b (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 完結おめでとうございます!この話の二人が永遠に見てたいくらい好きなのでこの2人のその後みたいな話短編集とかで欲しいです、、 (2020年4月2日 0時) (レス) id: 4f83e9d9b1 (このIDを非表示/違反報告)
七つ子(プロフ) - お疲れ様でした!この作品は私にとって、お気に入りの中のお気に入りでした!新作も読みます!ありがとうございました! (2020年4月2日 0時) (レス) id: e81a79aa4e (このIDを非表示/違反報告)
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